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夏休み明けに急増、18歳以下の子供の自殺者が増加することが判明

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自殺理由は「家庭生活」から「学校生活」へ

 平成19年以降の、学生・生徒の自殺者数は、2011年の1026人をピークに減少傾向にあり、2014年には866人にまで減少しています。

 内訳は小学生が17人、中学生が99人、高校生が213人、大学生が428人、専修学校生が109人と半数ほどが大学生を占めています。さきほど年代別の死因を紹介しましたが、大学生が多いと考えられる20~24歳の死因の割合をみると約52%が自殺で亡くなっています。20~24歳の死のリスクは自殺が病気や不慮の事故よりも多いということです。

 小・中学生、高校生、大学生の自殺の原因・動機を比較しましょう。自殺対策白書には「自殺の原因・動機の判断となる遺書、サイト、メール、生前の言動の残されているもの」を対象に、自殺の原因・動機を記録しています。

 調査によれば小学生の場合は、「家族からのしつけ・叱責」が多く男子小学生は約52.9%、女子小学生33.3%(女子小学生は「親子関係の不和」も33.3%)と、学校での出来事よりも、家庭での出来事が起因となっていることが分かります。

 中学生になると家庭生活よりも、学生生活が自殺の起因となる割合が増えます。男子の場合は、「学業不振」が20%と最も多く、続いて「家族からのしつけ・叱責」が17.5%。女子の場合は、「その他学友との不和」が22.2%、「親子関係の不和」が18.8%の順になっています。

 自殺の起因は高校生になるといっそう、家庭生活以外からシフトする傾向が顕著に現れます。

 男子高校生は「学業不振(17.1%)」「その他進路に関する悩み(16.8%」)「うつ病(11.6%)」の順に多く、学校生活が自殺の主な起因となっています。一方、女子高校生は「うつ病(21.8%)」「その他進路に関する悩み(12%)」「その他の精神疾患(10%)」 と精神疾患が増えています。

 大学生は高校生で現れている傾向を引き継いでいて、男性は「学業不振(24.2%)」「その他進路に関する悩み(20%)」「うつ病(17.7%)」、女性は「うつ病(35.4%)」「その他進路に関する悩み(13.4%)」「学業不振(13.4%)」となっています。

なぜ9月1日に自殺が多いのか

 大まかに見て、学年が上がるにつれて「家庭生活」よりも「学校生活」が自殺に至る大きな要因になっていくことがわかりました。中学生は高校受験、高校生には大学受験、大学生には就職という将来への不安があります。うつ病など精神疾患に罹患した原因は不明ですが、それらも無関係ではないでしょう。

 18歳以下の自殺が9月1日に最も多いと聞いて「いじめられている生徒が夏休みがあけた9月1日に自殺してしまうからでは」と、「いじめ」が主な原因ではないかと私は推測したのですが、いじめによる自殺とされている件数は全体的にはそれほど多くありませんでした。もちろん、いじめを理由とした自殺も問題ですが、自殺=いじめと短絡的に結びつけるのも危険なようです。

 「いじめ」が原因でないとなると、なぜ9月1日に18歳以下の自殺が増えるのでしょうか。

 可能性としては、いじめが発生していなくても、勉強についていけない、友人との関係がうまくいかない、集団生活に上手く馴染めないなど、学校がストレスフルであることや、夏休みという「受験勉強シーズン」が終わってしまったことの絶望感など、様々に考え付くのですが、「なぜ9月1日なのか」を裏付けられそうなデータは見つけられませんでした。

 自殺対策白書には児童生徒の自殺対策として、スクールカウンセラーの活用など学校における「心の健康づくり」と、自殺の増える時期に集中的な対応の重要性を説いています。この手段が無効であるとは思いませんが、対処療法に過ぎないという印象を受けました。むしろなぜ学校が、自殺にいたるほどにストレスや心の不安を感じるほどの空間となっているのかを考えるべきではないかと思います。

 これまでいじめや自殺問題に取り組んできた専門家や支援者は今回のデータが出る前から「9月1日に自殺が多い」ということを感じてきたそうです。それを裏付けるデータが「自殺対策白書」で示されたことで、有効な対策を打つきっかけとなることを期待します。
(水谷コウ)

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