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産休・育休制度の整備は会社にとっても得である

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制度整備は批判者の負担軽減に繋がるはず

 マタハラに関する記事には、性別にかかわらず「産休・育休を取られると迷惑」「被害者気取りするな」といったコメントがつくことが多々あります。messyで行われた調査でも、強い口調での批判ではないものの、そうした不満が垣間見えるコメントがありました。

 これらはいわばセカンドハラスメントではないでしょうか。マタハラ問題を解決するためには、やはり理解を広げていく必要があります。理解を広げ、制度を整える際に、こうした批判者がこれまで同様かさらなる負担を感じる方法を取ると、「妊娠・出産は個人のこと。同じ職場にいるというだけで無関係な俺/私を巻き込むな」と、いっそうの反発を生む可能性があります。もちろん現実にマタハラや制度不備で収入を失うなど困っている人がいるわけで、反発など考えずに制度を整えていく必要もあるのでしょうが、それとは別に批判者からの反発自体が妊娠出産を検討する女性にとって大きな障壁となることから、反発を低減させる方法を考えることには意味があると私は思います。

 ここで、回答者が考える「マタハラの原因」と必要としている「対策」はどのようなものかを見ていきましょう。

 「原因」としてあげられているのは「男性社員の妊娠・出産への理解不足・協力不足(67.3%)」「職場の定常的な業務過多・人員不足(44%)」「女性社員の妊娠・出産への理解不足・協力不足(39.1%)」が上位3つとなっています。特に「男性社員の妊娠・出産への理解不足・協力不足」が多いことが分かります。

 一方「対策」は、「休業・復帰しやすくなる制度や会社にとっての負担軽減、または制度に関する会社の理解促進(会社に対して)(50.3%)」「育児に携わった女性のマネジメント・経営陣への登用(理解者を増やす)(48.3%)」「行政による保育園や学童保育制度の改革(保育園の増設、保育時間の延長、学童保育の充実など)(46.6%)」なっています。

 ふたつを比較すると、「原因」は「個人」が問題とされていますが、「対策」は「環境」が問題となっていると言えるのではないでしょうか? 私は、産休・育休取得者に対して批判的な人は「これ以上迷惑をかけるな」と思っていると考えています。ということは彼らが「仕事を辞めない妊産婦のせいで迷惑をかけられている」と思わないようなアプローチであれば反発は生まれないはずです。

 会社側が、産休・育休が取りやすく、復帰しやすい環境を整えたとしましょう。方法はいろいろと考えられますが、人員を増やして仕事量を分散させたり、社員が欠けてもケアが可能な制度を新しく設けたとしましょう。不十分な制度のままでは、社員が産休・育休をとると、同僚や上司・部下の仕事付加が増し、不満が生まれやすいかもしれませんが、このように制度が整えられていれば、その負担も軽微なもの、あるいはまったく負担が生まれないという状況もあり得るでしょう。産休・育休を終えた社員が会社に戻ってくれば、新しく社員を雇うよりも生産性が担保できます。このように考えれば、両者にとって得があると言えるのではないでしょうか? もちろん批判が「なんとなく気に食わない」といった気分の問題であったり、「どんな理由であっても制度利用者は会社にとって迷惑」といった投げやりな理由からなされているのであれば、まったくもって説得力はないのかもしれませんが……。

 なお、男女雇用機会均等法では、妊娠・出産・産休の取得などを理由とした解雇は禁止されています。労働者の権利として認められているので、産休や育休の取得に悩んでいる方は、堂々と権利を行使してください。

 冒頭で紹介した「マタニティハラスメント対策ネットワーク」は現在「非正規社員として働き、妊娠・出産をご経験された方」を対象にしたアンケートを行っているようです。まだまだ問題解決にほど遠いマタハラ問題。その一助として、回答されてみるのはいかがでしょうか?
(水谷ヨウ)

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