リベンジポルノで泣き寝入りしないための「別れ方」 誰もが被害者・加害者になり得る 角間惇一郎×清水陽平

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自分と無関係のアダルト動画のタイトルに名前を書き込まれていた

角間 清水さんはリベンジポルノの被害者の相談などを受けられていますが、ここ最近、相談案件は増加傾向にあるのでしょうか?

清水 そんなに増えていないです。リベンジポルノについては昔から相談自体がそこまで多くはないんですよね。単に相談しにくいというだけなのかもしれませんが。

角間 泣き寝入りも多そうですね。相談者の年齢層で多いのは?

清水 データは取っていないのですが、20代から30代の方が多い印象です。10代の方だとやはり弁護士に相談しようという意識にはなかなかならないのかもしれませんね。

角間 相談費用って大体おいくらくらいなんでしょうか?

清水 名誉毀損やリベンジポルノ防止法で訴えるのではなく、サイトに掲載されている写真や動画を消すだけならば、ひとつのサイトだけなら、着手金3万円で、削除できたら報酬として5万円ですね。ただサイトによっては、拡散されて他のサイトにも掲載されやすいものもあるので、その場合は、すごく手間がかかるんですよね。どこにあるのかを探さないといけないですし、それら一つ一つに対応をしなくてはいけないので費用も高くなってしまう。

角間 全てを消そうと思ったらかなり高額になってしまいそうですね。ちなみにどうやって見つけているんでしょう?

清水 ひたすら検索をかけて、目視で確認しています。

角間 それは大変だ……。別れをこじらせたカップルのどちらかが、インターネットにアップしてしまうケースが多いですか?

清水 そうですね。交際していた時に撮らせてしまった写真がインターネットに上げられてしまったとか、友達に回されてしまったという相談がほとんどですね。ただ、「リベンジポルノ防止法」は、交際していたかどうかについては書かれていないので、交際の有無は関係ありません。

角間 どういった形でインターネットに公開されるんでしょう? アダルトサイトには「素人もの」というカテゴリーがありますが、あれがもし本当に「素人」で、許可なくあげられているのであれば、リベンジポルノ防止法に該当しますよね。

清水 ええ、素人ものを取り扱うアダルトサイトに投稿されてしまった、というケースはありますよ。それらをツイートしたらやはり法的に罰せられます。冒頭でもお話しましたが、公開を前提にしていない性的画像を拡散すると、リベンジポルノ防止法違反となる可能性があります。あとは別人が出演しているアダルト動画のタイトルに自分の名前が書き込まれてしまっているケースもありますね。これはリベンジポルノ防止法にはあたらないのですが。

角間 名誉毀損にはなりますよね?

清水 はい、このケースだとFC2動画に上げられていることが多いんですが、FC2動画っていろんなサイトに転載されるんですよね。海外サーバを使っているサイトだと、対応に苦慮するんですよ。どこに削除を請求すればいいのかわからなかったり、連絡をしても返事がなかったりする。

角間 それをひとつずつ探すんですもんね……。インターネットに一度アップロードされてしまった写真や動画はなかなか消えないものですよね。

清水 消せることもありますが、難しいですね。いまお話したように、拡散されたらすべて探して消さなくてはいけませんし。

角間 しかもパソコンなどに保存している個人がいれば、弁護士さんが苦労して削除したと思っても、その後にまたアップされてしまう可能性もある。そういう意味では、本当にまっさらな状態にすることは難しいですね。

清水 そうなんですよね。ただ相談内容で多いのは、とりあえずインターネットにアップされている写真や動画を何とかしたいというもの。依頼者は自分の名前で検索して、検索結果ページの最初のほうに名前や画像が出なければ安心されるようです。

角間 全てを消そうと思ったら高額になってしまいますね。アップするのは簡単なのに、被害者は時間もお金も名誉も失われるのは納得いかないなあ。

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いつか知り合いに見られてしまうかもしれないという女性たちの不安

角間 風俗店で働いている女の子やすでに業界を卒業している女の子たちから、「過去の在籍写真がインターネット上に残っているので消したい」という相談を受けることが結構あります。実はお店の人に言えばすぐに消してもらえるんですけど、勝手にお店をやめてしまって気まずいから連絡できない、という女の子もいて。

「気にしなくてもいいんじゃない?」と言うこともあります。風俗の在籍写真ってそこまで拡散されませんし、本名じゃなくて源氏名で登録していますし、顔出ししていない子は顔全体や一部にモザイクがかかっているから特定されることはほとんどない。精神衛生的に気持ち悪くて、インターネットに残っている画像を消したいという彼女たちの気持ちはよく分かるんですけど、お金も時間もかかるし、そもそも全部消せるとは限らないので、実害になっていないなら、無視して次にいくほうがよっぽどいいと思うんです。

ただ問題なのが、風俗業界の場合、「撮らせないと仕事にならない」という人たちがいるんです。インターネットで集客を計る風俗店がほとんどですから、指名してもらうためにはモザイクの少ない写真を使わないといけない。彼女たちが恐れるのは「仕事がない」状況なんですね。だからお客さんがつかないと、最初は顔全体のモザイクだったのに、口元や目元だけのモザイクになり、最後はモザイクなしで顔出しするようになる。でも顔の露出度が高ければ高いほど、辞めたあとにその写真への気持ち悪さが増える。「いつかバレるんじゃないか」と心配になるわけです。

清水 そのケースだと、公開する前提で写真を撮っているのでリベンジポルノ防止法では罰せられないのですが、辞めているのに消してもらえない場合はプライバシー侵害というところで交渉していくことは可能です。

角間 そうか、リベンジポルノ防止法には当たらないのか。後腐れなく辞めるか、あるいはウェブ担当の人と仲良くなっておけば、あとで削除してもらえるし、対応してくれなくても交渉の余地があるのは救いですね。

そういった交渉は弁護士さんにお願いする以外に方法はないのでしょうか? 弁護士さんに相談行くのってハードルが高いと思うんです。弁護士と繋いでくれる相談機関や、あるいは直接交渉してくれる相談窓口はありますか?

清水 弁護士以外が報酬を得る目的で削除請求や開示請求をすることは禁じられています。ただ、窓口のようなものとして、法務局の人権擁護局、総務省支援事業の違法・有害情報相談センターなどがあるので、ここに相談すれば、削除の方法を教えてくれたり、場合によっては削除の手続きをとってくれたり、弁護士を紹介してくれたりするようです。

角間 そういう窓口があれば、全てを消すことは難しいことや、コストがどれだけかかるかがわかるし弁護士さんに削除をお願いするかどうかも判断できますね。不安を抱えている人に付け入る悪徳業者もいるでしょうから、公的な相談機関があると安心です。

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