リベンジポルノで泣き寝入りしないための「別れ方」 誰もが被害者・加害者になり得る 角間惇一郎×清水陽平

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サイト、サーバ側の努力も必要

角間 リベンジポルノに該当するような性的な写真や動画を載せているサイトやサーバ側は法的に罰せられないんですか?

清水 責任ありということにはなり得ます。ただ実際に削除依頼を受けた時点ですぐに対応すれば、摘発されるという可能性は低いようですね。

角間 なるほど、責任はある、と。サイト管理者やプロバイダがリベンジポルノに対して積極的に対応策を講じているケースはありますか?

清水 GoogleやTwitter、Facebookは、被害者からの申し立てがあれば削除に応じるという対応をしているみたいですね。

角間 全世界から申し立てがあるわけですよね。対応は非常に時間がかかりそうです。対策としては、ネットリテラシーの教育とテクノロジーの開発を積極的に行うことが重要だと思います。

例えば、LINEは企業のCSR活動の一環として、青少年に対するネットリテラシー教育に取り組んでいます。テクノロジー面で言うと、アメリカの14歳の女の子が開発した「Rethink」というシステムがいいなと思いました。インターネット上で相手を侮辱するような書き込みをしようとすると、「本当に投稿しますか?」というメッセージが表示される仕組みなんですが、1500件の実例データを取った際に、侮辱的なコメントを書き込もうとした若者の93%が投稿をやめたというデータが出ているみたいです。

清水 それはすごいですね。現状では、そうした侮辱的なコメントを書き込んだり、リベンジポルノのような投稿をすることへのハードルがすごく低くなっていることが問題だと思うので、非常に有効な対策だと思います。

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証拠を作る姿勢を持つことも大事

角間  写真や動画を上げるのはほとんどワンクリックで出来るのに、対策や削除にはこれだけの手間がかかる……とにかく性的な写真を撮らせない、というのはすぐに出来る対策ですね。ただ今はまだ被害にあっていないけれど、過去に性的な写真を撮ったことがあり、いつかバラまかれるかもしれないと不安になっている人もいると思うんです。別れるときに「あの写真は消して欲しい」といっても消してもらえなかったらどうすればいいんでしょう?

清水 残念ながらその時点では法的に対応することは難しいんですよね。ただ実際にその写真がインターネットに公開されて、刑事事件として訴えれば、警察がその写真が保存されている携帯電話やパソコンなどを証拠物件として押収するので、その際に目の前で画像を消させられるはずです。

角間 実害が出てからでないと、警察は動いてくれない?

清水 警察は証拠がないと動けないんですよ。相手に電話をかけて注意するくらいになってしまう。でも、リベンジポルノをするような人たちは、警察の注意なんて聞かない可能性もあります。

角間 どうすればいいんでしょう?

清水 写真や動画をネタに脅されている人は、そうしたメールやLINEや通話記録を証拠として取っておいてください。そこで重要なのは、証拠は作るものだということ。偽造しろということではなくて、待っていても証拠は出来ないということです。電話があれば、それを録音しておいたり、気持ち悪いからといってメールを削除するのではなくすべて残しておいたり。それを警察に持っていけばいいんです。

角間 なるほど「証拠を作る」という発想はいいですね。

清水 証拠はそこらへんに転がっていませんからね。意図的に収集しないといけない。別れようと思っているなら、のちのちこじらせる可能性も考えて、ちゃんと会話やメールを残しておくとか。

角間 別れを切り出す喫茶店でICレコーダーを忍ばせておくのもいいですね。なんだか世知辛いですが(笑)。

写真を持たれているからと怯えるのではなく、もし何かあった際に対応出来るようにこちらも証拠を残しておく。そして弁護士さんや相談窓口、警察に相談に行くといい。もちろん、証拠を取ったからといって、それで脅したらダメですが。

清水 「誰かと付き合う方法」についてはいろんな本がでていますが、「別れ方」ってあんまり話題になりませんよね。どんなに話し合って別れても、あとになってからぐちゃぐちゃすることだってあるので男女関係に正解はないんでしょうけど、これからは「別れ方」も考えないといけないんだと思います。

角間 根本的な解決法を考えるのは難しい問題だと思いますが、自分が被害者にも加害者にもなり得るんだということを意識して、ネットリテラシーを高めたり、テクノロジーを発展させていくことで、被害は少しずつ減らせるのだと思います。そういうことを、ただ地道にやっていくしかないんでしょうね。
(企画/カネコアキラ 構成/高平メグミ)

角間惇一郎(かくま・じゅんいちろう)
1983年新潟県生まれ。一般社団法人GrowAsPeople代表理事。夜の世界に関わる女性のセカンドキャリアに関わる課題をデザイン的に解決する試みを行っている。URL: http://growaspeople.org Twitter: @kakumaro 

清水陽平(しみず・ようへい)
弁護士(東京弁護士会所属)。インターネット上の誹謗中傷対策や炎上対策などを数多く扱う。2014年1月にはTwitterに対する開示請求、2014年8月にはFacebookに対する開示請求で、それぞれ日本初となる事案を担当した。2007年弁護士登録(旧60期)。2010年11月に法律事務所アルシエンを開設。著書に『サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル』(弘文堂)。

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