児童虐待相談が16年間で6.3倍に急増、現場の人手不足解消が急務

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児童福祉司を増やすことはできるのか

 今回の報告書で、特に注目されているのは「児童福祉司の国家資格化」が検討されている点です。 児童福祉司とは、大学で心理学、教育学、社会学のいずれかを修了し、実務経験を1年以上積む、あるいは養成機関を卒業、講習会を修了した上で、地方公務員資格に合格して取ることのできる資格のこと。つまりおおざっぱに言えば、児童福祉司に関連する職業に就いて経験を積むことで得られる資格となります。

 報告書には、平成25年度における児童相談所の児童虐待相談案件が、平成11年度に比べて約6.3倍である一方、児童福祉司の配置人数は約2.3倍しかないことが記されています。圧倒的に、人手が足りていないのです。

 虐待が増加する中で、児童や保護者の相談にのる児童福祉司の数は急に増えるものでなく、伸び悩んでいる。早急な対応が望まれる問題ですが、しかし、ただやみくもに数を増やせばいいというわけではありません。困りごとを抱えている児童や保護者に対して、適切に対応を取れるだけのスキルを持っている人材を確保する必要があります。そこで国家資格化の検討を始めたのでしょう。

 気になるのは、国家資格化による児童福祉司の増員はどれだけ見込めるのかという点、そして資格所得後の労働環境でした。というのも例えば国家資格である保育士は、資格を所持しているにもかかわらず、保育の仕事に就いていない潜在保育士が60万人に上るともいわれています。その要因として、処遇など含めた労働環境の劣悪さが大きいことが指摘されているのです。具体的には、賃金の低さ、長時間労働、保育現場であるにもかかわらずマタハラが横行し出産後の女性が働きづらい現場である……などなど。

 また埼玉新聞の記事によれば、「越谷児相では朝8時半から電話が鳴りだし、多い時は1人で10件以上対応する。その間に所内での面談や施設訪問を行い、緊急事態が発生すれば現場に急行。児相に戻ると、机には留守中の電話に関する大量のメモが残されていることも。平日夜間や休日は当番があるなど、児童福祉司の負担は重い」とあるように、増員は急務のようです。質の担保は重要ですが、社会福祉士など近接する分野が相互補完的に実務に就くというのもひとつの手なのかもしれません。

 この報告書は「子ども家庭福祉の在り方に関する専門委員会」が施策の実現に向けて議論を重ねることになっています。現実に困っている児童、そして保護者がおり、問題は待ってはくれません。適切で早急な対策の検討と実行を望みます。
(水谷ヨウ)

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