政治・社会

性教育の過去20年を振り返り、これから先10年を語る Next Generation Leaders’ Summit 2015

【この記事のキーワード】

型にはまった道しか語られない学校の性教育

種部 いま「問いかけ」から始まる教育ということも出ましたが、「こんな問いがいいんじゃないか」とか、逆に絶対に言って欲しくないことはありますか。

齋藤 大学時代、「問いかけ」をしてくれるセクシャルヘルスの授業を受けたことがあります。質問項目にイエス・ノーで回答し、そのあとグループで回答を確認しながらディスカッションを行いまいた。その問いのなかに「女性同士で子供を持つことについて賛成か」というものがありました。性教育をする上でもLGBTに関する問いかけがあるといいなと思いました。

言っちゃいけないことは「男の子らしさ」「女の子らしさ」という言葉。(使うのは)本当にあり得ない。絶対に使わないで欲しいです。あと「必ず人を好きになる」というのも止めて欲しい。「好きになる人もいるし、好きにならない人もいます。好きになる対象もいろいろです」と教えてもらいたいです。

種部 学校で使用する性教育の教科書には「男女交際」という言葉が出てきます。たくさんあるうちの恋愛パターンのうち、たった一つだけしか示されないんですよね。「男女交際」に当てはまらない人にとっては、その時点で性教育を受けることが苦でしかなくなってしまいます。齋藤さんが言ったようにLGBTに関する問いかけがぽっと出ると、考えるチャンスができますよね。

内藤 私も齋藤さんと同じようなことになりますが、「思春期になると『異性』を好きになります。」というのを言って欲しくないです。私は正直、思春期になって異性を好きになったタイプでしたが、異性を好きにならない人もいる。人を好きにならない人もいる。それって分類されるものではないんです。分類して押し付けると、そこから漏れる人たちが出てきます。

齋藤 出前授業でもLGBTの話をすることがありますよ。SCORAでは、事前に学校側に何を話していいのか確認するので、LGBTについて話してくださいと言われた時は話をします。逆に「話さないでください」と言われることもあります。LGBTに関することだけではなく、例えばセックスの話ができないところもあります。精子と卵子が出会うところから説明するんですが、どうして出会うのかは話せない。

種部 10年後には「話さないでください」と言われる状況を変えていかなければいけないですよね。皆さんのようなフラットな考えの方が、マジョリティになって政治家や学校の先生になると世間も変わります。

10年後の性教育。学校でやるべきか、学校以外でやるべきか。

種部 最後にこれからの10年、性教育を学校でやるべきか・学校以外でやるべきかについて聞かせてください。また、自分たちの活動でここだけは伝えたいという軸を教えてください。

山瀬 学校だけで全部行うのは難しいと思っていて。なので、ネット上の情報などをきちんと整理して、そこにアクセスしたいと思ってもらえるような土壌を作れたらいいなと考えています。

内藤 理想論を話すと、学校でやるべきだと考えます。誰もが受けられるものが学校教育です。インターネットはアクセスする手段を持たない家庭もありますし、家庭教育の考え方はそれぞれですし。出来る限りのことを学校で教えられるのが一番いいです。活動の軸は、みんなが「自分は自分を認めていいんだよ」という考えが持てるようになることです。

西出 場所は学校の授業「だけ」でなくていいと思います。学校や親、友達などいろんな中で色々なことを学んだり感じたり出来ればいいですね。学校の仕組みを変えるのも面白いかもしれません。学校は必ずLGBTの先生をひとり置かなくてはならないとか。会えば分かることってたくさんあると思うんです。

軸は、問いと対話です。円錐は横から見ると三角ですが、下から見ると丸で、斜めから見ると円錐に見えます。どれも正しいことです。同じ様に、それぞれの正義はそれぞれの正義だから揺るがない。だから答えを一つ出すのではなく、それぞれの正義があるということを前提に、共に考えることが重要かなと思います。

齋藤 軸にしているのは、目の前の「その人」を見ることです。中絶について話すとき、中絶経験がある子も居るかもしれないということに思いを馳せれば、意識が変わります。性教育についてはもちろん、医療の現場や自分の人生でも目の前のひときちんと見ることを大事にしたいと思っています。

種部 スライドを見せるだけの授業は教科書に任せ、あとは学ぶ過程で色々な考え方や想いを引き出していく。そのような性教育を、理想は義務教育でやっていきたいということが今日の結論だと思います。

あるタレントの方が「死ぬこと以外はかすり傷」といっていました。これが私の座右の銘になりました。トラブルがあったらなんとかすればいい。性というのはより良く生きるためにあるので、死ぬこと以外は全部OKと思っています。本日はありがとうございました。
(取材/此方マハ)

1 2 3

あなたにオススメ

「性教育の過去20年を振り返り、これから先10年を語る Next Generation Leaders’ Summit 2015」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。