女子学生の3割が援助交際を? 国連特別報告者による「日本での児童の性的搾取」に関する記者会見概要

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「法執行の部門から対策を講じることに加えて、被害者も支援しなくてはいけない。被害者のお子さんに十分なケアを提供すること、回復支援、社会に再統合できるようにはかる必要性がある。子供にもこういったサービスを受ける権利がもちろんある。関連各所、センターが支援サポートを提供しているが、もう少しサービスを専門化する余地があるのではないか。サービスの内容を絞って、センターとして特化するやり方。県、地方、公共団体レベルのみならず、市町村レベルにおいて子供たちのケアをする施設に24時間365日体制でずっとオープンにしておくことも必要なのではないか」

「今後はさらに回復プログラムを設計する段階から、被害者本人がより関与できるように相談にあずかれるようにするのがいいのではないか。ケアの分野ではまだまだ改善の余地があると思った。具体的にはジェンダーに関して考慮を厚くする余地があるのではないか。特に、被害者の大半は女児であるが、この頃は搾取対象に男児が入ってくることも増え、具体的な対策が必要と感じる。特に、性的マイノリティであるLGBTの要素も入ってまいりましたので、性搾取の被害者になった方の対策はより広範な視点から行う余地があると思う」

「子供たちに啓蒙する必要もある。搾取の被害者にならないように、NGOが支援提供できますが、公的当局、特に教育を行っている当局の支援が欠かせない。子供たちは教育施設で教育を受けているわけですが、教育の内容というのは正式な授業科目以外にもあるはずだ」

「日本において子供の性的搾取の対策として包括的な戦略が必要だと感じる。唯一存在する包括的なテキストは2001年に戻るものしかない(著者注:該当するテキストが見つからず)。このバージョンをアップロードする必要があるのではないか。具体的に実施措置を盛り込むことと資源も配分するということ」

「根源となる原因究明についてのリサーチ、研究も欠かせない。プッシュとプル両方の側面からということであり、子供の性的搾取についてはいろいろな形態があり得るということなので、これについても幅広く視点を持って考える。そして実効性の高い政策立案をすることではないか。テーマによっては公の場で討論することも重要。特に漫画、アニメの面で」

「日本では、子供の性的搾取を撲滅する意味で真の進展も起こっている。真の意味で進展を促進していくために必要なことは、本源的な原因を究明すること。そして主要な原因のひとつは、沖縄で目の当たりにした貧困にある(著者注:後半にある各紙記者によるインタビューは割愛しているため、この発言についての補足は当該記事を参照のこと「少女の性被害「原因は貧困」 国連特別報告者ブキッキオ氏警鐘」)。またジェンダー平等が足りないというのも原因のひとつになっていると思う。冒頭で申し上げたように、こういった時代を受け入れてしまうような社会の寛容性があるのではないか。そして行為を犯してしまった本人に対して処罰が加えられない状態が続いているのも実態である。この対策を取ることができれば、日本では100%児童の性的搾取がなくならないまでも、大きな進展をきたせるのは明らか」

「子供の権利を守るというコミュニティの中で日本は確固たる地位を持っている。2001年に沖縄で第二回目の世界会議も開催された(著者注:おそらく「第2回 子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」だが開催地は神奈川県)。2010年の東京オリンピックもいい機会になるのではないか。児童また青少年を対象としたケアを提供すること。そして子供たちの搾取が撲滅できるように目指していくことの弾みも日本でついている。昨年、関連法の改正も行われた。せっかくの機会ですから、ご活用いただき、努力を継続し、世界から子供の搾取をなくすことができればと思っている」

司会者による質問「日本はコミック・アニメ業界が大きなマーケットを持っている。業界からは児童ポルノの規制に関して、表現の自由の観点から慎重な意見がないわけではない。ポルノ一般の規制と表現の自由との関係についてどのような考えを持っているか」

「表現の自由・情報の公開の自由が一方にあり、もう一方に子供を守るニーズがある。そのバランスをとることは非常に難しく、デリケートで微妙な作業だということは認める。改正法案が国会で討議されているとき、マスコミも盛り上がっていたが、議論の対象となったのはマンガだった。マンガの形態で表現されている児童ポルノにアクセス、あるいは見ることで、児童虐待製造物が原因となって性搾取が増えているのかは、研究的な側面から明らかにして欲しいという要請があった。結果的に法律で採択されなかったが、この両者の間には関係があると思っているので、もう少し検討していただきたい。成人にまつわるポルノについては、表現の自由が議論として勝るだろう。しかし子供のポルノであまりにも内容で過激なコンテンツがマンガとなる場合は、法律で取り締まり、禁止すべきだと思う。子供のポルノコンテンツすべてを取り締まるということではなく、また違法行為にせよということではない。あまりにも過激な、目に余るような、子供が主題となったポルノコンテンツを表現したマンガなどは法律で禁止すべきと考えている」

「立法のことを話しているのでさらに触れたい。法律を作った後には、法律の実施ニーズが高いことを力説したい。どんな法律でも歓迎するが、法律が出来てからは実行する、本領発揮できるような環境整備が必要。社会として寛容になりすぎない、児童の搾取については絶対に行為としてストップをかけるような環境が必要である。現在の法律は改正され内容的に改善されているが、しかし、事犯を働いた人たちが有罪判決を受ける件数はあまりにも少ない。有罪判決を受け、量刑判決がでても、刑がかなり軽いという実態がある。また裁判所に持ち込まれないケースがまだまだある。裁判所に提訴するには、正式な証拠とか申し立てが必要だが、被害者となったお子さんは誰が虐待を働いたのか知っているため、正式に提訴できない事情があると思う。事犯があるのに、処罰をしない不処罰の状況があるので、これをなんとか是正しないといけない。社会的にこういうこと(性的搾取)を許さない、寛容の精神を持たないようにしなくてはいけないので、有効な形で法律改正をし、実行される世の中を望みます」
※以下、各社記者によるインタビューのため割愛。

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 短く私見を。「女子学生の3割が援助交際をしている」という発言が物議を醸していますが、何らかの調査によってこの数字が割り出されているならばその出典を、誤解に基づくものであれば冷静に訂正を促す必要があるかと思われます。

 また、児童ポルノ禁止改正法は施行から3カ月ほどが経ちますが、実際にどれだけの効果を生んでいるのかは今後、注意深く観察していく必要があるでしょう。実効性に乏しいのであれば、さらなる改正を、新たな問題を生み出しているのであれば見直しをしていかなくてはいけません。

 加えて、「表現の自由」の問題も重要であり慎重に議論しなくてはいけないテーマです。一方で、児童の性的搾取を減らしていくアプローチもまた必要不可欠なものです。「子供における人身取引、性的搾取、児童ポルノ所持・製造物、児童虐待製造物」において、重複しない部分については、一方の議論がもう一方の議論の足を引っ張らないように、個別に議論を深めていく必要があるでしょう。

 皆さんはブキッキオさんの記者会見をどのようにお読みになりましたか?
(門田ゲッツ)

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