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日本は発展途上国ではないか。「子どもを5,000円で育てられますか?」児童扶養手当増額キャンペーン

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シングルマザーの収入が低すぎる

赤石 こんにちは、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事長を務めております、赤石です。今日はひとり親家庭の置かれている状況について、簡単に説明をしてこのキャンペーンの必要性を伝えたいと思います。

日本のひとり親家庭の貧困率は先進国の中でも最悪レベルにあることは徐々に知られつつあります。2005年のOECDデータでも、日本のひとり親貧困率は最悪にある。また2012年の国民生活基礎調査では、ひとり親家庭は、貧困率が54.6%にも上るという結果が出ていました。

ひとり親家庭が実際にどのような生活を送っているのか。日本にはシングルマザーが123万8000世帯いるのですが、就労率は81%と非常に高く、これは世界各国で比べても4、5番目となっています。それにもかかわらず、児童扶養手当、養育費、遺族年金その他を合わせても年収は223万円しかない。しかも養育費を受け取っていると答えた方は19.7としかいませんし、親族と同居している方も38.8%しかいない。とうてい暮らしていけない状況にあるわけですね。シングルファザーは、シングルマザーに比べれば年収は高いのですが、就労と養育の両立は困難で、やはり厳しい状況になっています。

なぜこんなに大変な状況にあるかというと、まず就労収入が少ないことにあります。母子家庭のお母さんの就労収入は200万円以下が6割にのぼります。パートの方だけをみると、就労収入は125万円。この年収で、平均1.5人(の子供)を抱えているひとり親家庭が、子育てをすることは可能でしょうか? また公的支援などによる収入も含めても、児童のいる(ひとり親でない)世帯の平均年収が658万円であるのに比べると、母子家庭の世帯収入は291万円しかない。これは親御さんの収入・年金も含めた額です。非常に格差があることがお分かりいただけるかと思います。

モデルケースとして、10万円の収入があるパート・正社員のひとり親家庭を例にお話しをしましょう。年収が130万以上になると、この額は減額されるのですが、今回のモデルケースの場合、一人目の子どもには(年収は120万円ですから満額支給の)4万2000円の児童扶養手当がつきます。二人目の子どもには5000円、つまりあわせて4万7000円が出る。ここに児童手当も加わる。例えば中学生の子どもが2人いたら、児童手当は月2万円が支給されます。すべてあわせると、月16万7000円の収入があることになります。今回のキャンペーンは、せめて二人目の子どもへの児童扶養手当を5000円ではなく1万円にして欲しい、というものです。5000円ではありますが、一週間の食事代くらいにはなると思います。

児童扶養手当は貧困率削減効果が13.7ポイントあるという研究があります。児童扶養手当がなければもっと悲惨な状況になると言うことです。ここに5000円増額して、さらに貧困削減ポイントをあげて欲しい。これが今回のキャンペーンにおける私のお願いです。

褒められるべき多子家庭が苦しんでいる現状

駒崎 赤石さん、ありがとうございました。次は、貧困の子どもたちの学習支援を中心にやられているNPO法人キッズドアの渡辺由美子さんです。

渡辺 はじめまして。NPO法人キッズドアの渡辺です。私どもは2010年から低所得の御子さんたちへの学習支援を東京都内で開始しました。この事業は、生活保護やひとり親家庭、多子家庭、事情があって収入の低いご家庭など、低所得家庭を対象としたものなのですが、特にひとり親家庭の率が7割から8割と高くなっています。お越しになるひとり親家庭のお母様にアンケートをとらせていただいたところ、子ども1人のご家庭の平均就労収入は166万円(一人当たり83万円)、子ども2人のご家庭の場合は242万円(一人当たり81万円)、3人の場合は133万円(一人当たり33万円)、4人は175万円(一人当たり35万円)……と一人当たりの就労収入が、子どもが増えれば増えるほど減っていくことがわかりました。

子どもが増えるとやらなければいけない家事や育児も増えます。子どもの勉強(を見るにして)も人数の分だけ時間が必要になっていきます。また食費も子どもが増えれば増えるだけ高くなりますから、お金も必要になっていく。でも、子どもの面倒をちゃんとみようと思えば、仕事の時間を減らして子どもを見なくてはいけませんが、ちゃんと食べさえてあげるためには仕事の時間を増やさなくてはいけない。ひとり親の多子の方は経済的困窮のほかに、時間の困窮もあるのが現状です。

経済的困窮の解消を優先すれば、時間が足りなくなり、必然的にネグレクト状態になります。放置された結果、子どもの学力が低くなり、中学生でも九九が言えないとか、アルファベットのABCが覚えられずにいる、ということになりかねません。仕事も育児も完璧にやろうと思ったひとり親は、非常に無理をなさるので、病気になられる方も多い。

少子化が問題とされている中で、お子さんをたくさん持っている方は褒められるべきことなのに、一番大変な状況に置かれているのはとても悲しいことだと思います。ぜひ国が、児童扶養手当を2人目、3人目と増額して欲しい。そんな気持ちでいます。

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