社会

いま改めて問う「性風俗はセーフティネットか?」ー福祉と風俗店経営それぞれの見地から

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「風俗店経営は利益を追求するビジネスなので、女性たちへの支援という考えは私のなかにはありません。 ただ、性風俗で働けなくなり生きていけるかどうかのぎりぎりのラインにいる女性たちが、ウチに縁を感じて面接にきてくれたのなら、働きやすい環境を整え、長く稼いでもらうことで縁を返したい。そのためには、専属ヘアメイクも入れていますよ。容姿に自信をもって、もっと稼げるようになってもらうためです」

 そんな鶯谷デッドボールで今年、新しい試みが行われました。このセックスワークサミットの主催である一般社団法人ホワイトハンズからの提案により、同店の待機部屋で法律相談会が開催されたのです。名づけて法テラスならぬ〈風テラス〉。ホワイトハンズ代表の坂爪真吾さんや相談を担当した弁護士、社会福祉士から、「セックスワーカーでも行政や福祉につながってはいる。が、自分の仕事を伏せて相談するため信頼関係を築いたり、継続した支援につながるまでには至っていない」など今後の課題が報告されました。

「風テラスは面白い試みでした。今後続けるにしても、私たちはあくまで女性と風テラスをつなぐパイプ役です。われわれが直接関わると、弁護士さんに『いまのお店がつらい、辞めたい』と相談できませんからね。無料相談として続けたいので資金面の課題もありますが、こうして女性自身に寄り添うことが求人効果にもつながると信じています。うまくいけば、女性もお店もハッピーだし、当店を利用してくれるお客さまにも還元できます」

性風俗は『最後のセーフティネット』なのか?

 最後に本イベントのテーマ副題にある「性風俗は『最後のセーフティネット』なのか?」の問いに対する、おふたりの回答を紹介します。

「現実的にセーフティーネットになっている方もいる一方で、激安店でも稼げない女性もいることを考えると、その方たちにとってはセーフティーネットとはいえません。一律でこれに救われるわけではないということです。いま性風俗が果たしているのと同等の、いえ、それ以上のセーフティーネットが社会に用意されていたうえで、女性たちが『私はこの仕事をやります』と性風俗を選ぶのであればいいのですが、現状ではほかに選択肢がないと感じている人が多いのだとすると、そういう状況は本来あってはならないことだと私は考えます」

「性風俗を運営している側からすると、セーフティネットであるつもりはまったくないし、今後そうなるつもりもありません。従業員の女性たちにほかの選択肢があったなら、この仕事には就いていないでしょう。そんな状況で自分たちのことをセーフティネットなどと偉そうにいう気は毛頭ないです。鶯谷デッドボールで女の子たちに対してしていることを社会に広めることよりも、縁がある子たちによりよく働いてもらえる環境を精いっぱい提供することを優先したいです」

(三浦ゆえ)

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