【厚木ネグレクト死事件】弱っていく息子の異変に「気付かなかった」と言い張るのはなぜ

【この記事のキーワード】

 齋藤被告の法廷での供述は曖昧な点が非常に多く、結局どのくらい外泊をしていたのかは本人の話からは正確なところが見えづらい。だが定期的に外泊し、まる1日、理玖くんを部屋にひとりにしていたことは確かなようである。その間、理玖くんは1日1食だったのだろうか。だが齋藤被告は「1食だけの日は無かった」と否定した。

弁護人「通常、理玖くんはきちんと1日2食食べてた?」

齋藤被告「はい、基本的には全部食べてた感じです」

弁護人「食べないこともあった?」

齋藤被告「はい。やっぱりちょっと具合悪いときだと思いますけど」

弁護人「1日1食のときは?」

齋藤被告「無いと思います。最低でも必ず2回分、買って帰りました」

弁護人「理玖くんが具合悪くなった記憶は?」

齋藤被告「自分の中では特別、そんな、具合悪いようには思わなかったですね」

弁護人「死ぬちょっと前はどんな様子?」

齋藤被告「確かに、元気っていうわけではありませんでした」

弁護人「喋ってました?」

齋藤被告「声を発していたとは思います」

 齋藤被告はこのように、理玖くんの具合が悪くなっているようには思わなかったと述べ、亡くなる直前の理玖くんが吐いていた記憶もないと述べた。手足が硬直している理玖くんを見たこともないという。(ライフライン全滅で風呂に入れないため)体を拭いたりするときに触った感じでも、特に異変は感じなかったと繰り返し述べる。立ち上がれないような状態があったかという問いにも「そんなでもなかった、元々立って歩き回っているイメージはなく、どちらかというと座ってる時間の方が長かった」と答えている。本当なのだろうか。暗くて見えなかったのではなかったか? 真っ暗な部屋で手元を照らすため、たまに懐中電灯をつけることがあったというから、そのときに息子の姿を照らして確認しようとはしなかったのか(しなかったのだろうが……)? また、3歳過ぎの子供があまり動かず「座ってる時間の方が長い」ことは具合の悪さを示しているのではないのか? いずれにしろ被告には、息子の異変に気付くだけの常識も知識もなかったということなのか。

 とはいえ、一応、亡くなる直前の理玖くんが痩せていたことは認識していたようだ。

弁護人「死ぬちょっと前は痩せていた?」

齋藤被告「まー、そうですね」

弁護人「骨と皮みたいになっていた?」

齋藤被告「そこまでではないです」

弁護人「そういう記憶は無い?」

齋藤被告「そうですね」

 理玖くんの様子に“異変を感じなかった”と述べたが、そもそも齋藤被告の思う“異変”とはどのレベルなのか、判然としない。弁護人からは、亡くなる直前の理玖くんの様子について、かなり詳細に質問されていたが、理玖くんが下痢をしていたかということについては「余程のことがない限り(便の様子を)見ていないので分からないが、柔らかいときはあったと思う」とどっちつかずな返答。オムツ交換をすれば便があるかどうか確認するのが「普通」だと思われるが、被告に「普通」は通用しない。また、理玖くんが自らの手指でコンビニの食品の包装を開けることができたのかというという問いにも「自分が袋を破って中身をあげていたので分からない。たまには理玖が開けてるときもあった」と答えているが、親から何も生活習慣について教えられていない、いつも部屋で一人で座っている3~4歳児が、自分の手で食品の包装を開けられるかどうか。理玖くんは手指の使い方を、まったく会得していなかったのではないか? ともかく被告の発言は、異変があったようななかったような、曖昧な言葉で濁され続けた。だが、どれだけ被告が「異変はなかった、気付かなかった」と訴えたところで、理玖くんは亡くなってしまった。

(高橋ユキ)

次回につづく

1 2

「【厚木ネグレクト死事件】弱っていく息子の異変に「気付かなかった」と言い張るのはなぜ」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。