出産を理由に仕事を奪うな。産後の膳場貴子キャスターを襲った降板報道の舞台裏

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NEWS23公式HPより

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 TBS系『NEWS23』の膳場貴子キャスター(40)に降板騒動が持ち上がった。3日発行の一部スポーツ紙が「本人から降板の申し入れがあった」とTBS関係者が語ったと報じたのだ。

 膳場氏は11月20日の『NEWS23』の放送を最後に産休入り。しかしあくまでも“産休”であり、「また皆様の前に戻って、この番組でお目にかかれる日を楽しみにしています」と復帰意欲を見せていた。この報道には同氏も「責任と愛着を持ってやってきた仕事です。降板申し入れはしておりません。このような誤報を、たいへん残念に思っています」とフェイスブックで不快感をあらわにした。

 TBS関係者は「実際は膳場さんと局側で(育児降板のための)一時降板について話し合いは行われていましたが、まだ発表できる段階ではなかった。それが半ば“肩叩き”のような形で報道されたことに、膳場さんは激怒。降板するにしても1度番組に復帰してから、自分の口で話すつもりだったようです」と話す。

 報道が飛び出したタイミングについても、批判が巻き起こっている。「出産後すぐですからね(※出産を公表したのは12月6日で報道より後)。デリカシーというか、もう少し配慮があってもいいように思います。裏を返せば、復帰する前に降板に向けた外堀を埋めてしまおうという局側の意図が見え隠れします」(テレビ関係者)。

 12月3日発売の「女性セブン」(小学館)では、『内幕スクープ』として、TBSから膳場キャスターへの肩叩きを詳報していた。そこでは、10月末にTBS報道局幹部が彼女を呼び出し、「来年3月をもって専属契約を終わりにしたい」「膳場さんの体のためにも、生まれてくる赤ちゃんのためにも、キャスターの仕事はやめたほうがいい」と告げたことが明かされている。だが、当の膳場キャスターは春には復帰のつもりで予定を立てており、広告代理店勤務の夫が会社に1年間の育児休暇を申請していたという。家族で準備を進め、仕事を継続する予定でいたにもかかわらず、TBS側が事前の相談もなく降板通告をしたことに、彼女はまったく納得していないとある。

 ネット上では職場復帰を望む女性を虐げる仕打ちに「マタニティーハラスメント」との声も上がっており、すでにTBSには婦人団体から抗議があったとの情報もある。妊娠や出産、育児を理由に退職や降格を強要することは「マタハラ」であるが、男社会である日本はそれをまったく理解していない人が多いのも事実。「妊娠出産育児で、女性が働けなくなるのは当たり前。働けない人間にポジションを約束できないのも当たり前。要求ばかりする女性はワガママ」と、疑問にすら思っていない節があるから、議論は進まない。

 8日発売の「女性自身」(光文社)では、さらに細かく、膳場キャスターがマタハラの標的になっていたのでは、と報じ、「女に報道ができるか」といったセクハラ発言の飛び交う、男尊女卑の風潮が色濃く残るテレビ局報道部門の実態に疑問を投げかけている。

 制作費の割に視聴率はひとケタ台を推移する同番組のリニューアルを画策するTBSとしては、まさかここまでの騒動になるとは想定外だったそうで、前出TBS関係者は「膳場さんはそう簡単に折れそうにありません。仮に『NEWS23』を降板しても、代替番組が用意されなければ腹の虫は収まらないでしょう」と話す。折れるだの腹の虫うんぬんだのといった話ではなく、TBS上層部の早急な意識改革が急務なのは言うまでもない。そのうえで双方納得いく結論を導き出すべきだろう。そういえば同番組では解説を担当する毎日新聞特別編集委員・岸井成格氏の政治的な発言が問題になったばかり。TBSにとっては憂鬱な年末になりそうだ。

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