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「限界も近い」「働いていても生活が楽になるわけじゃない」ひとり親家庭の実態

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安定した社会のあり方

 本調査では「ひとり親家庭支援のために、これから拡充すべき(必要)と思う制度」を優先順位の高い順に3つ尋ねています。それらの回答を合計し、最も多い項目は「児童扶養手当などの現金給付の拡充(68.8%)でした。

「子どもとの生活のため、頑張って働けば働くほど児童扶養手当ての支給額は減り、その分仕事での負担は増え、一人で子どもを育てるつらさが出てきました」
「年数働いているのだから毎年ほんの少しは基本給が上がっているが、生活自体が楽になるわけではないのに児童扶養手当も年々減額で、生活は一向に楽にならない。貯金もできない。子どもに満足におこづかいもあげられない。旅行に連れても行けない。真面目に働いていて児童扶養手当を減額されてしまえば基本給が上がってもプラスマイナス0になる(原文ママ)」

 児童扶養手当などの社会福祉は、受給者に対して「楽をしている」という非難が浴びせられやすい状況にありますが、実際にひとり親家庭は児童扶養手当だけもらって楽をしているのでしょうか。神奈川県の調査でも出ているように、多くのひとり親世帯は何らかの形で就労していますし、平成23年度全国母子世帯等調査でも、母子世帯の母の 80.6%が、父子世帯の父の 91.3%が就業をしています。

 働いているのに生活が苦しい。むしろ働けば働くほど生活が苦しくなってしまう。このような社会福祉のあり方は間違っているのではないでしょうか。所得制限を緩和する、減額幅を緩めることで、ある程度の余裕を作り、ひとり親やその子どもが生活を安定させられるようにすることが望ましいと思います。

「大学まで行かせてあげることはできなさそうで、子どもの就職にも響くのではと、貧困の連鎖がとても不安に思っています」「一般家庭と塾などの教育環境の格差が広がっている気がします。親の所得の低さで子どもの将来の進路が制限されないような支援を望みます」という声もありました。こうした不安をひとつひとつ取り除けるようにしなくてはいけません。

「1人目と2人目以降の手当ての額が違いすぎる。1人目が満額4万に対して何故2人目以降は数千円しかプラスにならないのか。子どもが多いほど生活が厳しいのはおかしいのでは?」

 今年10月に、第一子が満額4万2000円であるのに対して、第二子には5000円しか給付されないことを問題視した支援団体や研究者が「ひとり親の児童扶養手当増額を実現するためのオンライン署名キャンペーン」を立ち上げました。

日本は発展途上国ではないか。「子どもを5,000円で育てられますか?」児童扶養手当増額キャンペーン

 その後11月10日の衆院予算委員会で、塩崎恭久厚生労働相が「年末までに加算額の拡充を含めて検討したい」と述べ、増額の可能性が見えてきています。今後の動向を注視したいところです。

 他にも「働かない訳にはいかないのに子どもが病気になった時に預ける場所が無いのがつらかった。車も無い、金銭的にも厳しい中、発熱している子をタクシーに乗せて病児保育してくれる場所へ直接連れて行かねばならず遅刻は免れない。連れて行った所で、受け入れ可能人数が「数人」なのでほぼ預かって貰えない」「ひとり親家庭に限らないが、もっと女性を活用してもらえる社会の実現を、大企業だけでなく中小企業まで広めてほしい」と、就労状況や保育の改善を訴える切実な声があります。

 社会保障・社会福祉、就労環境、保育などは、ひとり親家庭に限定される問題ではありません。そうした中で、困難な状況にあればあるほど、より困難な状況に陥ってしまうという社会構造がある。事故、障害、難病、介護、死別・離別……誰もが突然、困難に陥る可能性があります。足の引っ張り合いをするのではなく、社会的弱者と呼ばれる立場にいる人たちが安心して生きられる環境を整えていくことが、誰にとっても安定した社会のあり方であり、目指すべき方向なのではないでしょうか?
(門田ゲッツ)

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