女の乳首の意味は、女が決める。タブー視される“女の裸”と向き合う

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Photo by Freddie Murphy from Flickr

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公共の場での授乳を避けるため乳児を抱えながら授乳室やトイレを探すお母さん、女性有名人の乳首が見えたとか見えないとかで騒ぐ2ちゃんねらー、ビーチを上半身裸で闊歩する男性……こうした光景を見るたびに何かひっかかるような気持ちになります。「女の乳首って、なんなんだ」と。

夏の多摩川では、上半身裸になってランニングする男性を見かけますが、誰も気にとめません。しかし女性が同じことをしたら、「公序良俗に反する」として逮捕されてしまうでしょう。「公序良俗に反するもの」として扱われる女性の上半身。特に乳首は人前で見せることが強烈なタブーとなっています。乳房や胸の谷間が見えるような服を着ることは容認されていますが、そこから乳首が見えた途端、「わいせつな格好」とされてしまう。このような「女の乳首は隠すべきもの」という社会規範は、一体誰のためにあるのでしょうか。男性は公共の場で上半身裸になることを容認されているのに、女性はブラジャーで乳首を隠し、さらに服を着ることがほぼ「義務」となっています。このような女性だけに課せられた「義務」は、男女平等の観念に照らし合わせた場合、ふさわしいものなのでしょうか。

こういった問題意識のもとで、2007年に「GoTopless」という団体がアメリカで設立されました。「GoTopless」は男性と同様に、女性も公共の場で上半身裸になる権利があると主張し、啓発活動を行っています。毎年8月26日(女性平等の日)の直前の日曜日にはニューヨークでパレードを開催し、女性は上半身裸で、男性はブラジャーを着けて街を歩きます(ニューヨークでは女性が公共の場で上半身裸になることが法律で認められています)。

また、2014年1月には女優で映画監督であるリナ・エスコがアメリカで『Free The Nipple(乳首に自由を)』という映画を発表。同作は、アメリカのメディアが暴力シーンよりも女性のヌード描写の方に厳しい規制を行なっていることに、異議を唱えるドキュメンタリーです。そして、2015年3月にはアイスランドの女子学生たちがフェイスブックに自身の上半身裸の写真を投稿しました。写真はフェイスブックの規定によりすぐに削除されてしまったものの、付けられていた「#freethenipple」というハッシュタグは話題となり、「Free The Nipple運動」は世界中に広まっていきました。

ブルース・ウィリスの娘であるスカウト・ウィリスや、マイリー・サイラス、カーラ・デルヴィーニュ、そしてマット・マクゴリーなど、名だたるセレブたちもこの「Free The Nipple運動」に賛同し、SNS上で行動を起こしました。スカウト・ウィリスは、上半身裸でニューヨークを歩いたり、花屋で花を選んだりする様子をツイッターで公開。マイリー・サイラスも、すぐに削除されてしまったものの、自身の上半身裸の姿をInstagramに投稿しましたカーラ・デルヴィーニュもInstagramに写真を投稿し、同じ身体の部位なのに、男性と女性で乳首の扱いが異なることに疑問を投げかけました。そして、マット・マクゴリーはフェイスブックに自身の乳首の部分に女性の乳首の写真を貼り付けた画像を投稿。これらの投稿には多くの「いいね!」や肯定的なコメントが集まっています。「Free The Nipple運動」の影響かどうかは定かではありませんが、日本でも水原希子が服に乳首が浮き出ているセルフィーをInstagramに投稿し、話題となりました。messyでもこうした「Free The Nipple運動」や一連のセレブの行動については、過去に取り上げています

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