事故扱いされる議員の「育休」。議員はスペシャルでなければならないのか? 怒れる女子会@越谷

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いまウェブ上で議員の育休問題が話題となっています。これは自民党の宮崎謙介議員と金子恵美議員が育児休暇を取得する意向を述べたところ、民主党の蓮舫議員が「国会議員の夫婦の育休は否定的な立場を取る」とツイートしたことで議論が過熱した問題です。

実はこの議論が過熱する前に、埼玉県越谷市の市議会でも、議員の育休問題が大きな話題となりました。議会の会議規則にはこれまで欠席理由を「事故」のみで処理されてきました。しかし全国で「出産」を追加する動きが広まっており、越谷市議会でも今年「出産」が追加されました。ここに「育児」も追加したらどうかと山田裕子議員の所属会派が提案したところ、「育児の代わりは存在するが、議員の代わりは存在しない」「育児で議会を欠席するのはいかがなものか」という反論が噴出。山田議員がその様子を自身のFaceBookに投稿すると、多くの反響を呼び、活発な議論が行われました。

後日、FaceBookの投稿内容を、他の会派が「客観的事実に反している」と問題視し、山田議員は各会派のトップが集まる代表者会議に召集され、3時間半、説明と謝罪、記事の削除を求められる事態となりました。議員個人によるSNSでの発信に対して代表者会議を開催してまで検討をする必要性あったことなのか。そして話し合うべき、より大事な問題があったのではないか、といった問題意識から、12月13日に「怒れる女子会@越谷」が開催されました。

越谷市議の山田裕子さん、同じく越谷市議で山田議員と同期の松田典子さん、政治学者の三浦まりさん、代表者会議の様子を創作劇にした脚本家の内藤裕子さんが、「産休・育休」について考えました。

「事故」扱いされる育休

三浦 まずは今回の「越谷FB事件」の当事者である山田議員のお気持ちをお聞かせ下さい。

山田 母親としてありのままの声を届けたいと思い議員になりましたが、議会では男性が多数派で、男性なみに屈強に働けるマドンナのような女性か、可愛がられる娘のような人でないと議会でうまく生きていけないのかな、と思いました。今回、FBに議論の内容を投稿したのは、書記録に則って各会派の意見を紹介した上で個人的見解を述べ、市民がなにを思うかをやりとりしたかったからです。この件について、議員同士で個人的なやり取りをすることは分かるのですが、なぜ代表者会議で議題になり、さらに多数の会派がおかしいといえば、一方的に削除・訂正・謝罪を求められるということは怖いと思いました。多様な意見があっていいと思うのですが、それを見比べて考えるのは市民であって議会が決めることではないのではないでしょうか。

三浦 いくつか論点があります。まず「女性だから叩かれるのでは」という気持ちは、山田議員だけでなく多くの女性議員が経験していると思います。先日、「女性のリーダーシップで社会を変えるシンポジウム」を開き、野田聖子議員、蓮舫議員、辻元清美議員に参加いただきました。そのシンポジウムでも、可愛いうちは可愛がってくるんだけど、男性と肩を並べようとすると途端にダメになる、という話はそこでも出ていました。国政では女性議員が11.6%しかいません。9割が男性なんですね。政治はやはり男性中心社会であり、その中でどう戦うのか、という問題意識が雰囲気としてあるようです。

また議会の様子を外部に発信したことに対して、とやかく言われた点については、そもそも議会は開かれているはずが、閉ざされているという現状があります。ですから外部に発信したら、問題視されてしまう。それは、女性蔑視とか「育児するなら議員になるな」といった、オープンな場であれば言えないことも密室であれば言える。それが外部に出てしまったから焦った、という話なのかな、と私は受け止めました。いろいろな人が議員になることはいいことですが、透明性や公開性が担保されなければ、少数派がつぶされてしまうんだ、ということが見て取れます。

さらにもうひとつが「議員は育児をしていいのか」という問題です。議会のおじさんだけでなく有権者も「出産育児で議会を休むなんてけしからん」といったことを言います。この点については、妊娠中の松田議員が経験されていることかと思いますがいかがでしょうか?

松田 越谷市議会で「出産」が議会の欠席理由に入ったのは今年の6月議会です。私は3月に出産予定ですから、3月議会を出産理由で欠席する第一号になるかと思います。

「育児」を理由とした欠席は「事故」扱いになります。「事故」というのは、「思いがけず起こった悪い出来事」という意味を皆さん思い浮かべると思います。もうひとつの意味として「ことの起こった事情、ことの理由」という意味もありますが、皆さんが思い浮かべるのは前者でしょう。「出産」はいわゆる「事故」ではないと思います。次世代を生み出すことを「事故」という扱いはして欲しくないんです。「育児」も同様です。家族が病気に倒れるといったことは議員でなくても起きるものです。現在、「事故」と「出産」しか欠席理由にありませんが、看病や育児も欠席理由の選択肢として出てくればいいな、と思います。

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