
『VERY 2016年 02 月号』光文社
2016年1号めの「VERY」は重い。もちろん雑誌としての重量はいつも通りで、このご時世にたっぷり広告が入っているのは「売れる雑誌」だからなのだろう(計測したところ800グラムだった)。しかし重かったのは中身だ。重いというか、充実している。ただのファッション雑誌でも主婦向け家庭情報誌でもない。
メインはファッションページであるけれども、「今期はこれが流行ってます! 買いましょう!」なんてストレートなメッセージで買わせようとはしない。今回は『卒業』をテーマに、子供の外遊びに付き合って汚れてもいい格好やダウン一辺倒にならざるを得ず、つまらない思いをしがちな育児期間の女性たちに、「子供がもう少し成長したら、好きなおしゃれをできますよ!」と希望を与えるような内容。
妊娠期間はヒールを履かずにスニーカーやフラットシューズで安全第一、お腹を冷やさないことや無闇に肌を露出しないことなども考慮して地味な服装になる。産後も新生児を抱えてハイヒールで歩くと危ないため安全路線継続で、子供のよだれなどがつくから上質の衣類は着づらいしファーもアクセサリーも引っ張られると危険なので控える。乳児連れの外出は予備の衣類やおむつ、玩具やタオルなどをパンパンに詰め込める大容量のマザーズバッグ。こぶりな鞄で身軽に出かけるなど出来ない。着たい服を着られないことは、抑圧である。そんな日々を送るお母さん方にとっては、「大丈夫、その時期を過ぎればまたオシャレできますよ!」と励まされることだろうし、すでにオシャレ再開しているお母さん方にも参考になる企画が練られている。
特集「働くママのマイルール」では、育児休暇を終えて会社復帰した女性、自宅で働く女性、夫が積極的に育児に携わる会社員女性、外国人パートナーを持つ妻、シングルマザー4人、などなどパターンも様々。別のページには、第三者の精子提供を受けて子をもうけたレズビアンカップルのインタビューも掲載されているなど家族の形態が多様だ。もちろん専業主婦の声もあるわけだが、もはやVERYは「セレブ専業主婦の雑誌」ではない。
驚いたのは、極力メディア露出をしないよう心がけていると思われる、つんく♂の奥様・加奈子さんのフォトとインタビューが掲載されたことだ。夫ががんになったときどうするか、という重いテーマに取り組む企画。加奈子さんは元タレントでつんくが一目惚れしたというだけあって、今すぐレギュラーモデルになってもおかしくない美貌だった。
とりあえず全体を紹介してしまったが、一番「重い」のはやはり、すでにTwitter上でも話題になっている『妻だけED夫座談会』だ。2012年7月号の企画【しのびよる「妻だけED」の真実!】に参加した既婚男性4人が3年半ぶりに結集し、妻とのセックスレスについて語る内容。
東京都内で働く39歳~45歳の彼ら(妻も同世代の40代)、職業は映像制作会社の取締役だったり外資系貿易会社勤務だったり、相当稼いでらっしゃるいわゆる「ハイスペ男子」。で、「あなたのご主人がハイスペックホルダーなら、残念ながら浮気属性はデフォルトです」。つまり、あくまでもこれは社会的に高い階層にいるご夫婦たちのお話。ゆえに私自身は全然関係がないと思うこともできるが、この社会を大きく動かすのは底辺層の愛妻家ではなく浮気性なハイスペ階層の人々だと思えばやはり無視できない。
ちなみに3年半前は、「もういまとなっては妻以外の人と、にはまったく抵抗がない、でも妻とは抵抗がある、というのが本音かな」とのことで、妻以外の女性とのエンジョイセックス(不倫相手だったり風俗嬢だったり)について彼らは盛り上がっていた。