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「ボクサーの彼女」は変わった 『ロッキー』から40年、『クリード』のヒロイン像

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スタローンはクーグラー監督へ夢を継ぐ

それにしても、かつてはアドニスのように夢に向かって進む青年であり、物語の主人公であったロッキーが、すっかりその立場を退いていたのは衝撃です。年齢を経た男性は、後継者を育てるということがアイデンティティとして残ると思いますが、このコラムで取り上げた『マイ・インターン』のロバート・デ・ニーロにしても、昨年話題となった『キングスマン』のベテランスパイを演じたコリン・ファースにしても、若い世代を育てることで、自身の存在価値を確かめることができていたと思います。『キングスマン』のセリフに「マナーが紳士を作るんだ」というものがありますが、あのセリフは、『マイ・インターン』や『クリード』にも共通している気がしますし、そしてあのセリフは、人に教えているようでいて、実は自分に言い聞かせているんじゃないのかとも思うのです。つまり、後進に道を委ねるというマナーによって、自分を紳士たらしめていると実感しているのではないかと。

『クリード』の続編は、17年11月に公開されると報道されています。スタローン自身も構想に前向きだそうで、「ロッキーシリーズ」にいつも登場する、あのフィラデルフィア美術館のロッキー・ステップと呼ばれる階段を、年老いたロッキーはくたくたになりながら上るけれど、本当のスタローンはまだまだいけるという感じですね。

しかも、今回のクリードの監督、ライアン・クーグラーは、2013年に『フルートベール駅で』でカンヌ映画祭でもある視点部門フューチャーアワードを受賞して話題の監督ですが、スタローンが彼に会ったのはそれより前で、まだ無名といっていい頃だったとか。スタローンは、クーグラーの『ロッキー』の続編に対するアイデアを聞いて、『クリード』を製作しようと決めたとのこと。スタローン自身も、映画の中のロッキーがアドニスを見つけたように、クーグラーという後継者を見つけて、再び自分を奮い立たせ、そして委ねることが出来て完成したのが、この『クリード』だったというわけですね。

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