社会

「きみのエキスをチュウシュツして飲み干したい」駿台セクハラ参考書の例文は“生きている言葉”なのか

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差別的でないユニークを

 問題発覚後には、アマゾンレビューやtogetterで肯定派と否定派がそれぞれの見解を述べているのですが、発覚以前から同種の指摘はなされていました。一方は「まじめな例文ばかりの面白くない参考書より目立つ。アダルト系も充実している」という評価であり、もう一方は「面白いが、くだらない。オーソドックスな使われ方を示して欲しい」という評価に分かれています。

 共に「面白い」ことは一定程度評価しているようです。問題となった『生きるセンター漢字・小説語句』の著者である霜栄氏のその他の参考書(『生きる現代文読解語』『生きる漢字・語彙力』)もユニークな例文を使った問題が多数あり、広報担当者の「生きている言葉を使うことで、生徒に役立ててもらうことを意図している」という回答は、「ユニーク」である点を指しているのであろうと思われます。しかし当然ながら「ユニーク」であればなんら問題ないというわけではありません。

 本件を「問題視しなくともよい」とする人たちからはこんな意見がみられます。

「問題集の目的は点数をとらせることにある」
「駿台トップの講師が書いている以上、そういったことを考えていないはずがない」
「こんなもんにまでイチャモンつけるのか」
「性欲と結びつけることで学習効率を高めていて合理的」

 参考書の価値は、受験勉強での使い勝手でかなりの部分が決まるのでしょう。その意味で、たとえ性差別的な表現が使われていようがいまいが、「使えるならいい」とする人は一定数いるのかもしれません。しかし、それが「差別的表現を使っていい」ことにはならないのは当然です。ある問題を解決するために、別の問題を軽視していいはずがありません。特に性差別は往々にして優先順位が下位とされ、疎かにされることが度々あり、「ユニークさ」が「差別的な表現をしないこと」に優先されてしまっている現状は、社会の構図を反映しているのだろうと思います。

 特に本書は学習参考書という性質上、多くの女子生徒が使用しています。こうした不愉快な表現によって使用を敬遠する人もいたかもしれません。本書の特徴である「ユニークな例文」が有用であると駿台文庫が考えているのであれば、性差別的な表現を使うことで、損をしていることになります。「ユニークであること」と「差別的でないこと」は両立しますから、チェック体制を見直して、広く有用な参考書を出版していただきたいですし、また著者の霜栄氏は、現代文の講師なのですから、より社会の情勢に敏感であって欲しいと思います。
(門田ゲッツ)

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