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7割近くの男性が「夫が家事育児をするのは当たり前」 社会通念は変わりつつある。制度を変えるのは今だ

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制度が「希望」を邪魔している

kajiikuji0125

「男女共同参画社会白書」より

 これは「平成26年版男女共同参画白書」に載せられた「仕事と生活の調和に関する希望と現実」に関するグラフです。

 男性の「希望」「現実」に注目して下さい。「仕事を優先したい」では、「希望」する男性が16.8%なのに対して、「現実」は37.7%と割合が非常に高いのですが、「仕事と家庭生活をともに優先したい」の場合は、「希望」は31.4%で、「現実」は22.3%となっています。あるいは「家庭生活を優先したい」という「希望」は20.8%なのに、「現実」は18.9%となっていることを参考にしていただいても結構です。

 これらのデータが示すのは、「家庭生活」を優先したい男性も、現実的には「仕事」に手一杯でなかなか「家庭生活」まで気を配れない、ということなのではないでしょうか。「甘えてるんじゃないよ!」と言いたくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、根性論だけではなかなか変わらないのが現実です。重要なのは、こうした現実を生み出しているであろう、長時間労働などの現在の日本社会の働き方や制度こそ改革することです。

 例えば、育児休暇が問題となるとき、私たちはつい「“女性の”育児休暇」を思い浮かべてしまいます。しかし言うまでもなく、男性が育児休暇を取ることはなんらおかしなことじゃない。むしろ、自分の子供なのですから、親の性別に関係なく育児休暇を取れないほうがおかしいはずです。女性の育児休暇を前提とした制度があるならば、性別を限定しないものに変えるという課題がそこにあります。

 もちろん、こうした制度があるのは、あるいはつい「“女性の”育児休暇」を思い浮かべてしまうのは、未だに性別役割分業という社会通念が根強いことの証拠です。制度を変えようとするのと同時に、こうした社会通念をこれまで以上に解体していかなければ、現実に「制度」が変わることは難しいでしょう。下手をしたら「制度」が出来たのに、誰も利用しないというハメになりかねません。

 制度を作っているのは、国会でも自治体でも会社でも、地位が高く、そして年齢も高い男性が多く、彼らは若年層よりも強固な社会通念を持っていると考えられますから、「男性の意識も変わってきているし、この流れを放っておけばどうにかなる」と楽観的になってもいられないように思います。

 引退後に離婚届を妻に突きつけられる「熟年離婚」、出産後に夫婦の関係が冷めてしまう「産後クライシス」、きっと高齢者の男性の中には、こうした危機に直面したことがある人もいるはずです。同じような失敗を、これから夫婦生活を築く若年層にさせないためにも、制度を変えていこうという原動力になって欲しい。そんな呼びかけが効果的かもしれません。

 また、ただ「希望」しているだけでは、それが現実となったときに困るでしょう。「家事に意欲的な夫なのはいいんだけど、でたらめなことばかりして困る。しかも『オレは家事育児に協力的な理解のある夫』としたり顔だ」と、妻にうんざりされてしまうかもしれません。すでに広く浸透した「イクメン」も、「たいしたことをしていないのに、自己満足でイクメン面して困る」といった批判を生み出しました。

 よく考えてみれば当然のことです。自分が長年やってきた仕事に対して妻が突然口を出してきたら鬱陶しいでしょう。家事にも育児にも効率的に行うためのコツがありますから、今のうちに少しずつでも実践したほうが、「思っていたのと違う!」とならずに済むはずです。

 「伝統的家族」やら「輝く女性の活躍」やら、突拍子もない話が取りざたされる昨今。社会の価値観が変わっても、制度が変わらなければ意味がありませんし、制度が変わっても、それを利用する人たちの価値観が変わらなくては意味がありません。それらを同時に変えて行くような行動と、変わらない現実の中で出来ることをしていくという姿勢が、私たちの生きやすさに繋がっていくはずです。
(門田ゲッツ)

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