連載

母親たちが匿名で吐き出す誰にも言えない話「育児に向かない、8割義務」

【この記事のキーワード】

「3歳全く運動ができません。将来。」

 こちらのトピはトピ主レスが興味深いのでぜひリンク先を読んでいただきたい。育児に悩むというよりはむしろ教育熱心タイプだが、息子の資質が大人たちの期待にそぐわないことについて悩んでいるようだ。

 トピ主(女性・年齢不明)には3歳になったばかりの息子がいる。「まだジャンプができず、一人で軽やかに階段の昇り降りができません。やや発達障害があり、グレーと病院から言われています」が、一方、トピ主の家系は「皆スポーツに秀でていた」ため「息子が私の家系に似たら、アスリートを目指してみたいと半分本気で思って」いたのだという。

「息子に子供の頃から他者より運動面が優れていることの素晴らしさを感じてほしいなと思ってました。(略)私が運動神経自慢だったので、どう導いてあげたらいいか、考えています。夫は頭脳がいいのですが、夫に似るかは分かりません。性格は夫にも似ていません。ともかく発達が遅めもありますが、おっとりです。息子のこだわりにイライラして腕を引っ張って移動してしまうこともあり、後から反省し、泣いてしまいます。アドバイスをお願いします」

 ちょっと遺伝を気にし過ぎじゃないの?という印象を抱く。これまで紹介したトピ主にも同様の傾向が見られるが、子育てに行き詰まるとこうした思考に陥りがちになるのか。ともかくトピ主にとっては“子供の運動神経があまり良くなさそう”ということは、非常に大きな問題であるようだ。

「頭が良いご主人に似るほうがよっぽどいいように感じますが…そこまで運動神経にこだわるのなら、結婚相手にはスポーツマンを選ぶべきだったし、なにより太らないようにトピ主がしっかり健康管理をすればいい話ではないでしょうか?痩せれば動作も少しは軽くなるんじゃないの?」

 というコメントがいきなり書き込まれたが、う〜んその通り。遺伝を気にするタイプで、子供をアスリートにしたいという希望も持っていたトピ主がなぜアスリートと結婚しなかったのか——まあ、旦那さんを好きになったからじゃないの? また、アスリート云々と言いながら子供の体型が太めであることにも注目が集まり、「食事に気を遣えば?」と暗にトピ主の怠惰を責めるようなコメント群に。一方のトピ主レスはけっこう言い訳が多い。トピ主自体のこだわりと思い込みが炸裂している。

「運動神経の良さとは幼児のうちは太目とか関係ないんです。息子は滑り台も怖がります。せめて標準の発達のためにとほぼ毎日外に出ています。特に男の子は青年に入る前の少年期の、男の子同士の力での優劣が強烈に原体験としてその後の性格に残ります。

エリートであっても金持ちで寄付をしている人であっても、男らしさや力強さにいつまでも憧れます。なのでそういう男子の中でも運動や力で秀でているという成功体験を与えたかったです。エリートでもパシリの位置づけになる人もいます」

「うちの父が電話で息子のことを聞きます。『〇家の血が流れているなら男は180cmあって体躯に優れた美丈夫(ハンサム)でないとな』…親にも話さないといけません。

レスでも聞かれましたが、もちろん私はDNAを考えて体躯に優れた相手が条件でした。でも夫も同じでした。いろいろ恵まれている夫が最後に『そうだ自分には身長が足りない』と思って私を選んだかもしれません」

「私は現実主義でした。人より秀でていることは素晴らしい。それが容姿であっても才能の一つという考えです。息子には自分が与えられるのは運動面と考えてました。

また才能で世の人に還元できるまでになるには、激しい競争に負けない為にも自己顕示欲を持つことは大事だと考えています」

 などなど、コメントへの返信もしくは反論のような書き込みが続き、結局息子に対する態度をどうしていくかは分からないまま終わった。理想が高すぎて現実とのギャップに折り合いがついてなさすぎである。

 子育ては、子供の日々の物理的な世話をしながら発達や成長を見守る、特殊な作業だ。向き不向きは確実にあるだろう。女性が皆、子育てに向いているわけではない。だが、こうした声を匿名の掲示板でしか書けないというトピ主たちのように、リアルでは子育てに関するネガティブな思いを家族や友人に発信することは憚られるという現状もあるのだ。こうしたトピが上がる背景には、夫など他の家族とさえ、この悩みを共有できていない事実がある。言っても聞いてくれないのか、言えないと思っているのかわからないが、主な子育ての担い手である女性が負の感情を吐露する場が極端に少なく、身近な家族とですらそれを分かち合えないということが、子供を育てる女性をさらに孤独に追い込んでいるのではないだろうか。

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。