「出産適齢期は18~26歳まで」浦安市長発言の真意、そして同市の少子化対策の実態とは?

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 現在、4人が凍結保存を具体的に検討しているといいます。実施から約半年でのこの数値は、市の予想を大きく上回るとのこと。筆者は卵子凍結保存のための採卵を経験していますが、費用だけでなく精神的、時間的負担が大きく、誰もが気軽に受けられるものではないと実感しました。自治体がコストを負担し、大学病院が提供する最先端の技術でこの施術を受けられるとなれば、その安心感は非常に大きいといえます。しかも「いま産めない」人たちのための処置であり、すぐに子どもが増えるわけではないものに自治体がお金を出す意義は小さくありません。

 市とともに卵子凍結保存プロジェクトを進める順天堂大学医学部附属浦安病院は、今回の「18~26歳まで」発言を次のように見ています。

「妊孕能(にんようのう=妊娠する力)は年齢が高くなれば低下します。が、若いほどいいかというとそんなことはなく、10代は妊娠にともない赤ちゃんが死亡する率が高いのです。そのリスクが最も低くなるのは、25~29歳。総合してみると、妊娠・出産の生物学的な適齢期は、20代~30代中ごろまでと私たちは考えています。妊孕能は30代中ごろから低下するので、だいたい35歳を境に『妊娠しにくくなる』と覚えてください」(産婦人科 菊地盤医師)

 そして、市長は不妊治療で女性が受ける負担に理解があるからこそ今回の発言につながったのだろうとフォローしつつ、次のようにつけ加えます。

発言は撤回されるべきだけれど

「いつ産むか、何人産むか、産むのか産まないのか、は個人の自由であり、権利です。これを〈リプロダクティブヘルス&ライツ(生殖のための健康と権利)〉といいます。その一方で、妊娠に生物学的な限界があることを知っているのと知らないとでは、ライフプランの組み立て方も変わりますよね。ある報告では、お子さんを最低1人はほしいと考えているなら、自然妊娠であれば32歳まで、体外受精であっても35歳までに妊娠を計画するのがいいとされています」(同医師)

 専門家たちがはっきりと否定した事実については市長からの正式な訂正があって然るべきではありますが、こうして勇み足がすぎた裏には、全国平均より厳しい同市の少子化事情があると指摘する声もあります。

「国内の平均初産年齢は約31歳ですが、浦安市はそれをさらに上回り、30代半ばを超えています。合計特殊出生率も1.09と全国平均を下回っていて、市をあげて強い危機感を持っています。昨年度、〈少子化対策基金〉として30億円を組み、その使い道のひとつとして始めたのが、卵子凍結保存への助成でした。同じように精子の凍結保存にも助成をして、男性不妊を減らす努力もしています。しかし、もちろんこれだけでは不十分。子育てをしやすいをしやすい環境を提供しないかぎり、産みたい、産もうという人は増えません。ふたり目を望む人も増えません」(前出の職員)

 ネットで噴出していた批判のなかでも、「産めというが、産みたいと思える環境ではない」という意見が目立っていました。

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