社会

盗撮は刑法で罰せられない!? 迷惑防止条例の大きな穴

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スマートフォンによる盗撮が多数

2012年の統計では、盗撮の現場になるのは、(1)ショッピングモールなどの商業施設(28.7%)、(2) 駅構内の階段・エスカレーター(28.0%)、(3)書店・レンタルビデオ店(13.0%)が多く、使われる機器は(1)スマートフォン(32.9%)と(2)カメラ付携帯電話(29.8%)、(3)デジタルカメラ(14.7%)の比率が多くなっていました。スマートフォンは、小型で持ち運びしやすいという理由以外にも、アプリを利用するとカメラのシャッター音が消せることが盗撮のしやすさにつながっていると考えられます。これは4年前の統計ですから、現在はスマートフォンの比率がもっと高くなっているのではないでしょうか。

また、盗撮現場として一番多いショッピングモールなどの商業施設は、お店で商品を見ているときや施設内の階段・エスカレーターを上っているときに狙われやすいと考えられます。駅構内の階段・エスカレーターの比率も多いので、階段・エスカレーターは要注意ですね。私はエスカレーターを上る際はいつも手すりを背中に、横向きになって立つようにしています。加害者は被害者に顔を見られるのを避けるため、街を歩く際などは時折後ろを振り返ることも予防になるそうです。

女性だって警戒せずに外出したい

この記事を執筆するにあたって、私はトイレでの盗撮の手口や、映像がどのような形でネットに流出しているのか調べるため、「トイレ 盗撮」で検索し、ヒットしたアダルトサイトを閲覧しました(動画を閲覧するという行動は、結果的に加害者に加担している面があります。その点について、予めお詫び申し上げます。トイレでの盗撮被害の現状をお伝えするため、敢えて動画を閲覧し、詳細を記載させていただきました)。

そのサイトで公開されていた動画は、ある飲食店の女性用トイレを盗撮したものでした。投稿者は「これはやらせではなくリアルの盗撮です。そのため、若い美女だけでなく年配の女性も映っていることが特徴です」「僕が印象に残ったのは、面接を直前に控えていると思われる女子就活生がお辞儀や笑顔の練習をしてから用を足していたシーンです」といったコメントを添えてアップロードしていました。動画にはコメントの通り様々な年齢層の女性が映っていました。ドアを開け、服やパンツを下ろし、排泄し、トイレットペーパーで股間を拭き、水洗レバーを押し、服やパンツを履くという一部始終の行動が、洋式トイレの便器の右下に設置されたカメラによって鮮明に撮影されていました。その映像では女性たちの顔にモザイクがかけられていましたが、投稿者が指定したURLに飛び課金すると、モザイクのない動画を見ることができるようでした。

私は動画を見て、嫌悪と恐ろしさ、悲しさが混ざったような感情で涙が溢れ、気持ちが沈みました。この動画が本当の盗撮映像なのか、女性たちの許可のもと盗撮風に撮っただけのものなのか真偽は分かりませんが、本当の盗撮映像だった場合、あまりに酷くないでしょうか。どうしてトイレを利用しただけで、こんな映像を撮られないといけないのでしょうか? そしてそれをネット上で、無数の人に見られなくてはならないのでしょうか。女性が自分一人だけの空間・時間においてトイレや身支度をすることは許されないことなのでしょうか? 女性であるというだけでこのような動画の被写体になっているかもしれない、という不安を抱えて生きていかなくてはならないのでしょうか?

私自身、こういった現状からは目を背けて生活してきました。盗撮映像や画像を集めたサイトがあることは知っていましたが、そんなものに向き合いたくありませんでした。昔、駅のエスカレーターで盗撮されたことがあるのですが、そのときから今まで「きっと暗くて不鮮明な画像だろうから、ネットに上げられたりはしていないだろう」と無理やり思い込み、自分を安心させてきました。普段も、神経を張りつめながら外出するのはストレスが溜まるので、「盗撮は滅多にあることではないし、仮に撮られたとしてもネットにわざわざアップされることなんてないだろう」と敢えてポジティブに考えて生活してきました。

このような生活の仕方は、本来であればまったく問題ないことのはずです。悪いのは加害者なのに、非のない被害者が警戒しなくてはならなかったり、自分の盗撮動画・画像がネットに流布されることに怯えて、外出を楽しめないのは不条理だと思うのです。それを「目を背けて生活している」と思わなくてはいけないのは納得いきません。

でも、全員がそうして「盗撮なんてないものだ」と思って生活してしまうと、結局加害者を野放しにしてしまうことになります。なので、警察や駅構内で働く職員の方々、そして私のようなメディアで情報発信する立場の人間がこの問題について警戒するなり、加害者を捕まえるなり、流布した情報などの現状を見つめ報じるなりしていく役割を担っていかなければならないのではないか、と考えています。

また盗撮の常習犯には先日の記事でも触れた性嗜好障害(パラフィリア)を抱える人が多数いると考えられます。単に罰するだけでなく、精神医学・臨床心理学的観点を取り入れた再発防止のための対策も重要です。

刑法に規定のない盗撮。その代わりに各都道府県の迷惑防止条例に規定されていますが、その条例でさえ16県においては不備があります。私が住む神奈川県では2014年に改正され、トイレや更衣室での盗撮も対応できるようになっていました。あなたが住む都道府県の条例がどうなっているのか、確認してみてはいかがでしょうか?
(北原窓香)

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