2月15日の東京都杉並区の区議会で発せられた、小林ゆみ区議による「同性愛は個人的趣味」という発言が炎上しています。その発言は、杉並区議会において彼女の区に対する「性的マイノリティについての質問」の中に出てきました。以下に引用します。
“性的マイノリティの方々のアパート入居、病院での面会などの不利益が存在するのであれば、彼らの苦しみを取り除き、彼らを救済する必要があります。しかしそれら個々の問題が発生した際には、それらに対する個別の運用で十分に対応が可能ではないでしょうか。”
“現在、日本には性的マイノリティ向けの心理カウンセラーや同性結婚式を行う神社や結婚式場、性同一性障害の患者を積極的に診察する病院が存在します。さらに厚生労働省が精神障害者保健福祉手帳から性別欄を削除するなど、性的マイノリティに配慮した対応が国内で既に進んでいます。このように日本は他国に比べると、性的マイノリティに対して目に見えた差別が少ない国であると言えます。”
“レズ、ゲイ、バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。そもそも地方自治体が現段階で、性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすことは、本当に必要なのでしょうか。”
“性的マイノリティに関して幾つか質問させていただきましたが、それはトランスジェンダーである私の親友がここ最近のLGBTに関する運動の盛り上がりに不信感を抱いており、「自分はカムアウトはしたくないし、そもそも世間にここまで大きく性について取り上げて欲しくない」という彼女の言葉を聞いたことがきっかけでした。”
……私は彼女の言葉を聴いた後、ムズムズするような違和感を覚えました。
まずレズビアンのことを何度も「レズ」と呼んでいること。「レズ」という言葉には蔑称的な意味も含まれ、「レズビアン」を使うことが望ましいとされています。区議会のような政治的な場で、「レズ」という言葉を躊躇なく使うのは、明らかな勉強不足です。
また、親友のトランスジェンダーの方の意見を、あたかもトランスジェンダー全体の代表的意見として扱っている点も気になりました。トランスジェンダーにも様々な考えを持つ人がいるという視点が欠けているのではないでしょうか。もちろん、親友の“自分はカミングアウトをしたくないし、世間に性について大きく取り上げてほしくない”という言葉も一つの意見として尊重されるべきものではあります。「トランスジェンダー」という概念が広まることによって、誤解が生まれるなどリスクもあるでしょうから、その点については慎重に議論されるべきです。ただ、セクシュアルマイノリティの権利を守ることは、当事者にカミングアウトを強制することにつながりません。