社会

未成年の性的欲望を否定せずに、保護・救済することは可能か 小池一夫氏発言から考える「大人」の態度

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このような規範が女性に向けられるのは、まだまだ一般的で、小池氏(と、その家人)に限らない考え方ではないだろうか。成人男性が性的欲望を抱くことは問題視されず、むしろ、例えば浮気について「男だったらしょうがない」といった文言で肯定的に語られることが多い。少女であれ大人の女性であれ、性的関心が芽生えたり、欲望を抱くことは決しておかしくはない。出会い系サイトの利用を推奨するわけではないが、倫理や貞操の問題として縛られるいわれはない。

小池氏はブログで、自身が「変わったところ」として、「世の中には、少女を食い物にしたい男がいくらでもい」て、「僕はそんな男たちの一人ではないという意識が、僕を傲慢にさせたのでしょう」という気づきを述べている。そして「子どもは社会が守るもの」と大人の責任への問題意識が欠落していたことを認め、謝罪している。その上で、氏は「何があっても女子中学生や女子高生は『出会い系サイト』等にアクセスするべきではない」と書いている。この点が、氏の「変わらなかったところ」のようだ。

直面しているのは軽率な断罪

粗探しをして小池氏を叩くことが目的ではないので、ここから話を発展させたい。確かに、携帯電話会社によるフィルタリングサービスもあるが、果たして未成年に対する出会い系サイトの使用禁止などのアクセス制限にどれほど効果があるのか? ということを考えなければいけない。

成人されている読者は思春期のころを振り返っていただきたいのだが、レンタルビデオショップや書店の十八禁コーナーへの立ち入りや、十八禁のウェブサイトを閲覧したことはないだろうか? 大人による危険のフィルターを内面化しながらも、同時に反発を覚えたり、または好奇心が勝り、禁止事項に手を出してしまうという経験は決して特殊なことではないと思う。

禁止や注意の喚起だけでは不十分で、それが明示されていることでかえって、出会い系サイトを利用する未成年はどんな被害にあっても自己責任とされてしまう可能性がある。子どもの権利を軸に、どこからを「自由」とし、どこからが「保護」とされるのか、を考え続ける必要がある。

そこで2.だが、「現在の生活環境の困難からの逃避」という目的で、出会い系サイトを使う子どもたちもいると考えられる。KSBの本事件報道によると、女子生徒は、容疑者に「誘拐」される前にすでに家出していたという。その家出願望の理由については明記されていないが、親や保護者からの家庭内暴力や、貧困といった環境的な要因かもしれないし、何らかの満たされなさや孤独を埋めるために「ここではないどこかへ」と手を出した可能性もある。本件に限らず、学校や家庭以外の場所に救いを求める福祉環境が整っていなかったために、子どもたちが出会い系サイトを利用する、というケースはあり得るだろう。

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