社会

未成年の性的欲望を否定せずに、保護・救済することは可能か 小池一夫氏発言から考える「大人」の態度

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筆者が目にした本事件報道では、「女子生徒の家出願望の理由」、「容疑者と女子生徒の親密さ」、「容疑者が女子生徒に強要したのかどうか」といった肝心の事件背景で不明な点も多い。そこで、「女子中学生がネットを通じて知り合った成人男性に誘拐された」と三十文字足らずでまとめられてしまう報に、どういった社会的意義があるのか? という点について考えたい。

インターネット利用の規制や、大人からの搾取や暴力にさらされる可能性の警鐘が報道理由だとしたら、今ひとつ考えが足りない内容に思われる。社会問題として児童福祉や保護について考える機会の提示だとしても情報に欠ける。

女子生徒の意志や容疑者との関係性がどのように作用して、双方の行動動機が生まれ、本件のような「誘拐」事件となり、社会問題となって立ち上がるのか。そんなことをわたしたちは報道を通して考えることができる。だから、メディア側は、いったい何のためなのかを問いながら、報道内容を考えていってほしい。

2月29日の山陽新聞 digitalで、女子中学生の「わいせつ目的誘拐」で、岡山県内で40代男性が逮捕されたという報道があった。少女は岡山県在住で容疑者は兵庫県在住という点、容疑者と女子中学生が出会い系サイトで知り合った点、その後ふたりが「LINE」でやりとりをしたという点、など小池氏が言及した事件と類似性が高い。しかし、こちらについては、虚偽で女子中学生が誘い出され、恫喝され、暴行を受けたと、明らかに暴力的な誘拐であることが報道からもわかる。

一方で、21日に報道された「誘拐」事件の場合、先述の通り、少女と容疑者の関係性など事件背景に不明な点が多い。5.で示したように、小池氏のツイートでは、「馬鹿な男」と斬って捨てられていたが、事件背景が明るみに出てから容疑者を断罪しても遅くはない。もちろん、少女の家出に同情の余地があり親身になって幇助したのだとしても、その後、児童相談所に行くとか対処の仕様はあり、連れ出した責任を問われても仕方がないところはある。

小池氏に限らず、我々「大人」も、インターネット利用で簡単にニュースのヘッドラインを目にし、流し読みした情報でわかった気になり、安易に事件の渦中の人々を断罪してしまう可能性がある。その点を情報の受け手も肝に銘じ、判断を保留する忍耐も必要なのではないだろうか。
鈴木みのり

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