「保育園落ちた、日本死ね」状態の親たちよ、声をあげよ! 専門家に聞く「待機児童問題」はなぜ解消されないのか

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まず、一般的に〈保育所の設立や保育士の待遇改善に回す予算が足りない〉と言われますが、予算が回されない理由とは?

柴田「有権者を占めるかなりの数が高齢者であることが大きいでしょう。さらに投票に行く人の割合も、高齢者のほうが高い。高齢者の多くは、今自分が直面している年金や介護の問題などが関心ごとであり、子育てはもう終わっていますから、待機児童問題になかなか危機感を持てません。さらに待機児童問題は都市部に集中した問題です。そういった年齢や地域の点で、困っている人たちが人口的に少ないため、政治家としては票に結び付きにくいので、公約に掲げにくいというのがあると思います。それゆえ、予算がなかなか回ってこないのです」

年金も死活問題でしょうから致し方ありませんが、待機児童問題による将来的な税収の減少や、生みにくい空気が蔓延することによる少子化は、後回ししていいと思われている?

柴田「現状はそう思わざるをえない状況ですが、最近はいろいろなメディアで待機児童の問題や少子化問題が取り上げられるようになりましたので、これからは、中高年もこれは問題だと思ってくれるような流れになったら、政治家のほうも、待機児童への対策を打ちだしやすくなるのではないでしょうか」

待機児童問題とは無関係の有権者に関心を持ってもらう、というのはなかなか難しそうですが。

柴田「2014年に中野区で、待機児童のお母さんたちが不服申し立てをしたというニュースが報道されました。ああいった運動が大事なんです。行政に直接訴え、そしてメディアに取り上げてもらい、世の中にインパクトを与えることが重要です」

ブログやSNSなど、今は誰でも発信できる世の中なので、声を上げるのは、比較的手軽な印象です。

柴田「まさに〈保育園落ちた、日本死ね〉のブログですよね。あの場合はさまざまなメディアで取り上げられ、声が広まる結果となりました。ただ、ブログで発信して行政へ声を届けることを期待するのはあまりに偶然性が高すぎますので、しっかり法的な形で行政に請願を出しましょう」

よし! それじゃ鬼気迫る請願書をですね……というのはなかなか難しく、未だ終わらぬ保活と、高速ハイハイでいたずらしまくる0歳児を追いかけながらの仕事で、息絶え絶えです。もし余力があっても、今すぐ解決されなければ自分の子はもう認可園には入れないので、正直モチベーションが全く上がりません(笑)。

柴田「そのとおりで当事者はそれどころじゃないので、当事者じゃない人たちが動いていくのが重要です。ただそういった人は〈当事者が声を上げるからこそ〉それが証拠となって動きやすくなるのです。ですから、そういう人に惨状を伝えるというのはひとつの手だと思ってください。たとえば、問題意識を持っている政治家へ、ツイッターのメンションでもFacebookのコメントでもいいので、誰もが見れるかたちで、意見を直接届けましょう。まずは地元の区長・市長・知事に、そしてつぎは、待機児童問題への関心が高い衆議院議員や参議院議員に、直接届けるというのがポイントです。もしかすると自分の待機児童問題はなかなか解決しないかもしれませんが、自分の苦しみを無駄にしないためにも、政治家にツイッターでバンバン意見をぶつけましょう! ツイッターのような公開の場で意見をぶつけたら、政治家は反応せざるをえないはずです」

少々耳が痛いですが、できる範囲でがんばります……。ところで、「保育園に入れない!」と声を上げると、「自分で育てろ」という冷ややかな目を向けられることも少なくありません。そもそも〈保育園にサポートしてもらいながら働きたい〉というのは、そんなにわがままな主張でしょうか。

柴田「そんなことは全くなく、〈女性には働いてほしいけど、子育てもしてほしい〉と要求している政府のほうが、むしろ求め過ぎでしょう。そんな要求に応えようとしてくれている女性は、わがままどころか、政府からみたらむしろありがたい存在であるはずです。しかしこれまで働いてこなかった中高年の女性たちや、妻が専業主婦をやっていたような男性たちは少し価値観が違うので、そう思う人もいるのでしょう」

2013年には、「3年間抱っこし放題での職場復帰支援」なる戦略が打ち出されましたが、働く女性にとって3年間の育休は現実的とは言えず、今や認可園に入園させるための誰でもできる加点テクニックとして、〈可能な限り早めに認可外保育園に預ける〉ことが定番化しています。その点についてはどう思われますか?

柴田「現在の状況を受け入れたうえで保育園の席を確保するというテクニックなので、それは仕方ありません。しかし本来は、〈何歳から預けたいか〉というのは選択肢が多様にあるべきだと思うので、本当はもう少し家庭内で育てたいのに、入園テクニック上、預けざるをえない人が出てくるというのは、不幸なことであると思います」

ちなみに私の住む地域は、認可保育園以外の保育施設に預けた場合、認可園との利用料金の差額(の一部)を補助してくれる制度がありますが、今度は血眼になって施設の安全面や環境を自分でチェックしなくてはならない労力がのしかかることは必須。そもそも「お金は一部出すからあとは自力でなんとかしてね~」と言われているようで、これまたモヤモヤした気持ちに……。いや、モヤモヤしている暇があったら声を上げるべき、でしたね。

先日、NHKの小野文惠アナウンサーの、「子供を産めなかった女性は〈よい捨て石になろう〉」なる発言が注目を集めましたが、今はこちらが捨て石の気分。この保活の惨状は今のところ最大の「産んでみてびっくり」でした。そして次なるセカンドインパクトは、学童問題か!? 出産の助成金や医療費助成制度などは本当にありがたいけれど、〈日本死ね〉は少なからず共感せざるを得ない毎日です。
(ムシモアゼルギリコ)

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