男女不平等の日本社会が「子どもと女性の貧困」を生んでいる 『女性と子どもの貧困』著者・樋田敦子氏インタビュー

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―― 樋田さんご自身も娘さん2人を育てられたとのことですが、子育てをしてきた中で、お子さんの学校のお友達に対し“この子、もしかしたら貧困に陥っているのかな”など感じる機会はありましたか?

樋田 ありませんでしたね。というのも、やっぱりママ友って同じような生活レベルで固まってしまう。順番が回ってきてPTAの役員もしましたけど、本来、積極的にPTAの役員をやっている人は、生活に余裕がある。必死に働いている人は保護者会にも出てこないし役員もやらない。だから近くのお母さんやお父さんと話もしないし、行政と繋がりづらかったり、貧困が見えにくかったりするんじゃないかなと思います。人間って、自分の目で見ないと分からないじゃないですか。私も取材をして初めて貧困を目の当たりにして状況を「知らせたい」と思ったくらいですから。

―― 世間一般の人が貧困の現場を直に見ることってなかなか難しいですよね。ということは、貧困の実態はなかなか伝わりにくい……。

樋田 難しいですね。貧困を抱える人も、自分が困窮している状態を見せたくないと思っています。どんなに困っていたとしても、親しい人にちょっと愚痴をこぼすぐらいで、お金を貸してと言えません。自分の貧困状態を伝えるのは恥ずかしいことだと躊躇してしまう。誰とも繋がれず、愚痴を言う相手さえいない人が大半です。貧困を抱える人には孤立していると実感としています。

シングルマザーの方も自分が抱える困難を周囲に言いづらいんですよ。そもそも自分がシングルマザーであるということでさえもカミングアウトできない人が多いのです。結婚して、離婚して、シングルマザーになったとなると、周囲から「失敗した人」と烙印を押されてしまうのではないかと不安を抱いてしまうのです。特に同じような生活をしていたママ友とは疎遠になってしいってしまう。

離婚にはそれぞれの事情があってするのに、離婚イコール、結婚を全うできない人と思われてしまうのです。4組に1組の夫婦が離婚する時代なのに、日本ではそういう風潮がまだ根深く残っています。自分の親から「子どもがいるのに離婚なんかして……」と言われてしまう女性もいました。それだけでも苦しいのに、それをあえて他人に明かすのって、なかなかできないですよ。もちろんあっさり言える人もいらっしゃいますが、言えない人の方が多いのです。シングルマザーであることをカミングアウトすることも、本人にとっては重要な課題だと言うのを聞きました。多くの方がシングルマザーの生きにくさがあるのだということを頭の隅にでも入れてくれていたらいいなって思うのですが……。

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