セックスを求められないということ
――どんなところが羨ましかったんですか?
植本 旦那さんに可愛がられて愛情をもらっているところ。私、産後に旦那さんとのコミュニケーションが全然なくなっていたんですね。
――いわゆるセックスレスということですか? ちょうど今日、そのことについても伺おうと思っていたんです。著書では触れられていなかったので。
植本 書かなかったけれど、もうずっとセックスレスですね。第一子を産んで、そのあと2回くらいセックスしたら第二子を妊娠したんです。それからずっと、ない。旦那さんと仲良くはしていましたけど、でもセックスレスだということは自分の中では大きな問題で。どうなっちゃうのかなあって思っているうちに本当、耐えられなくなってきて。それを自分から旦那さんに言い出すこともできなくて、だんだんおかしくなってきて、もう限界かもしれないという時期に好きな人ができて。そうしたら今度は、旦那さんのことを一切受け付けなくなっちゃいましたね。
――わかります。私は逆パターンで、自分にとってはレスが大きな問題じゃなかったけれど配偶者にとっては大問題で揉めました。でも、子供たちと同じ寝室で布団敷いて一緒に寝ていたら、物理的にセックスするの無理じゃないですか? 時間的にも、ですが。
植本 そうなんですよね。だから全然、どこの夫婦でもやりづらさはあって、セックスレスになるのも普通のことだと思うんですけど。
――いや、普通のことじゃない、深刻な問題ですよ。それで離婚する人がいるくらいの。現に、植本さんにとっては大きな問題だったわけですし。性欲うんぬんとはまた違うんですよね。
植本 そう、まだ私も若いし(※24歳で結婚、現在31歳)、この先もうずっとしないのかなと思ったら怖くなった。エグいから書かなかったし、あまり人に言う話でもないけど。そもそも完全にセックスレスになる以前も、旦那さんから誘われることはそんなになくて。それで結構、自分が自信を失くしてしまったというのはありました。いつ(お誘いが)来るのかな、来るのかな、あぁ今夜も来ないのね……っていう、緊張と失望の繰り返しがずっとあって、それがいつのまにか「いつ来るんだろう」って恐怖に変わって。旦那さんも元々、旺盛なほうではないし。……でも私、旦那さんに対しては、出会った当初から、「結婚するための人」っていう感覚がすごくあったんですよ。体の相性とかラブラブとかいう感じではなくて。
――結婚用の、男の人?
植本 そもそも私、恋愛はいつか必ず終わりの来るものだと思っていて。
――20代前半の時点でもう、そう思っていた?
植本 そう。だから恋愛と結婚は別物という意識が強かった。自然と、「結婚する人」っていうのを探して見つけて選んでいたんです。だから旦那さんとのセックスは本当、数えるほどしかないです。結婚するために子作りをした感じでした。二人目ができたのも、産後クライシスにならないようにとかじゃなくて、なんとなく再開しなきゃいけないのかな夫婦として、と考えてしたらすぐに命中してしまって。第二子の妊娠が発覚したとき、まだ上の子が生後10カ月で、体調的にも精神的にも「もう無理!!!!」って思いましたね。つわりでゼェゼェ吐きながら「絶対産めない、うぇぇぇ」って。でも私がそんなふうになっているのに、旦那さんはすごくうれしそうなんです、にこにこしちゃって。それに何だか無性に腹が立ちました。
――その命中から一度も旦那さんとのセックスがない?
植本 ない。だから丸々6年くらい、ないですね。これから先もないんじゃないかな。旦那さんとは、数えるほどしか、ないです。
――これから先もですか。
植本 子供をつくるとしたら、他の人の子供をつくって、旦那さんと育てるのがいいかもしれない。子育てをするパートナーとしては、旦那さんがいい。娘が二人なので、男の子欲しかったなあ、ってたまぁに思ったりして。でも「またあの日々をもう一度やるのか……無理無理無理無理」って(苦笑)。
――わかります、それ。肉体の年齢的には「まだ産めてしまう」じゃないですか。私も娘が一人だけで今32歳なので、男の子もできたら……とたま~~~に頭をよぎって、一瞬で「ダメダメダメダメ」って。まあ、実際に一人産んで育児をやってみたことで、「もうこれ以上はいいや」ってあきらめがちゃんとつきましたね。