社会

「温泉盗撮」女性を撮ったら犯罪、男性なら笑い話? サンド伊達の「脱衣所で全裸盗撮された」告白はなぜ笑えるネタなのか

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 常々思うが、男性が性的に被害をこうむることに対して、日本は寛容すぎるのではないか? これを男性への性差別と捉えることもできる。

 もちろん、女性の性被害と比較すれば、男性の性被害は件数が多くない。だが男性は「男である」ことが邪魔して、被害を表面化することが困難であったり、たとえ被害を告白しても「痴女に襲われるなんて良いじゃん」と一種のプレイのようにみなされて負った傷の深刻さが理解されずセカンドレイプされるケースなどもあるだろう。後者については「男はいつでも大抵の女とヤりたい生き物」というおかしな認識も重なっているかもしれない。飲み会で男性が裸にされたりしても、特に問題にはならない。男性の肉体は股間さえ隠せばあとは人前に晒してもセクシャルなものと認められにくく、セクハラ被害に遭ったとしても申告しにくい社会環境が醸成されている。また、体というものは誰もが持つものだが、すべて持ち主のプライベートな領域である。女性の体に対して、許可なく触ったり裸を撮ったりしてはNGなことはさすがに周知されているが(それでも痴漢などの犯罪は消滅しないが)、男性の体に対する意識は、いまだに低いままではないだろうか。

 性別と場所が変わればここまで変わるという例がある。3月8日にBBCが報じたのは、米フォックス・スポーツのエリン・アンドリュース記者(37)が7日、ホテル室内で裸でいたところを盗撮されビデオがインターネットに流出した事件で、損害賠償金5500万ドル(約62億円)を認められ勝訴したというニュースだ。アンドリュースさんは2008年、ホテルのドアに開けられたのぞき穴から、ストーカーのマイケル・デイビッド・バレット被告に盗撮された。被告は後にビデオをインターネットに掲載したのである。アンドリュースさんはツイッターに「世界中の被害者からの支援を光栄に思います。皆さんが手を差し伸べてくれたおかげで、私は立ち上がり、人の安全とプライバシー保護を職務としているはずの相手の責任を問いただすことができました」と今回の判決を受けてコメントを発表している。

 BBCがこれを報じたのと同じ日に『バイキング』が放送され、男性による男性の盗撮被害を笑い話にしている。時代遅れも甚だしい。番組制作陣にもやはり、女の裸はダメだけど男の裸は別にいいだろう……という感覚があるのだろうか。しかし男性が性的被害に遭うことを問題視せずに笑い飛ばすのは、「性におおらかな風土」でもなんでもなく、男性の体に対する権利意識の低さを示していることに他ならない。なによりまず、男性たち自身が、自らの体は自分だけのものであり、許可なく触られたり脱がされたり撮られたりすることはおかしいと認識することだが、「俺らは別に気にしないからいーよ」「自分の裸に価値なんてないし(笑)」等々、無頓着なままである限り、意識は変わらないだろう。

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