社会

世界から男性が消滅する? 生物学からみた「男らしさ」「女らしさ」/『男の弱まり』黒岩麻里氏インタビュー

【この記事のキーワード】

なんでも鵜呑みにせず、「疑問を抱き知識を持つ」のが大事

―― 「生物学的な性」と「つくられた性」の言説が一緒くたにされ、広がってしまうことの問題点はなんでしょうか。

黒岩 広がってしまうのには、社会的また文化的な背景があると思います。男性的、女性的なイメージというものが社会でつくられてしまっており、科学的な根拠もないのにその型にはめて考えてしまうのが問題なのではないか と。

―― 根拠を確かめもせずに信じ込んでしまうことは、男女問わずあります。さまざまな「性」に関する言説を見たときに、「生物学的な性」と「つくられた性(社会的な性)」を見分けるポイントがありましたら教えていただけるでしょうか。

黒岩  ひとつに、なんでも鵜呑みにせず「本当にそうなのかな?」と疑問をもってもらうことです。また、生物学的な知識を持ってもらえれば、その判断もより柔軟になります。私の著書ももちろんオススメですが、生物学的な性に関する著書は多く出版されています。あまり身構えずに楽しみながら、こういった著書を利用して知識を身につけてもらえたらと思います。

―― なるほど。その知識を生かして、自分の性や相手の性と、よりうまく付き合っていきたいです。最後になりますが、黒岩先生は息子さんが二人いらっしゃいます。子育てをしているとき、生物学的な知識が育児の悩みを解決するのに役立ったことなどはあるでしょうか。

黒岩 行動学の分野では、女児よりも男児の方が活発で行動性が高い、と言われています。もちろん個性も大きいですが、男児により活発な傾向がみられています。私は二人の息子を育てていますが、彼らが幼かった時、とにかく活発でほとほと手を焼きました。最初は躾の問題も考えました。私の育て方が悪いのかと自分を責めることもあったのです。自分自身は二人姉妹で育っているので、活発がゆえに親に叱られるような経験がなかったからです。ですが、これはもって生まれた性差なのかな、と考えると気が楽になりました。もちろん、場面に応じて子どもをおとなしくさせることは重要な躾ですし、過度な活発性はその子がなんらかの障害をもっている可能性もありますので、見過ごすことはできませんけれども。

* * *

子育てのみならず、夫との関係性も、生物学的な知識にずいぶん助けられています。著書に書いたように、そもそも「男女は理解しあえない」ものなので(笑)、なぜ相手を理解できないのかを考える、すなわち夫の気持ちをできるだけ考える努力は怠らないようにしています。果たして理解できたかは別にして。
(聞き手・構成/青柳美帆子)

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。