40代以上の総合職女性の絶対数は非常に少ない。女性管理職を増やすために必要なのは、男女不平等の是正よりも新陳代謝と世代交代だ

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前回までで、女性の昇進、昇給差別、「女性の仕事」と括られている職種の扱いなど、幅広い問題に疑問を投げかけながら、ざっくりと私の考える女性の労働問題について触れてきました。

今回は、ちょっと男性を擁護してみたいと思います。

これから女性管理職の数は少しずつでも増えていくかもしれませんが、「上げ底」などという批判をされないように頑張ろうというプレッシャーや気負いなど、男性管理職であれば感じずに済む問題も出てくるのではないかと思います。

こうした状況は、どんなに男性上司が「これからは女性も活躍するべきだ」とサポートしようとしていても、そして女性がどんなに頑張っても、個々の努力や思いだけではなかなか変えることができません。

管理職・役員職に女性がいない

役員や管理職に女性がいないのは、そもそも年功序列の風土が残る日本企業で、勤続年数が役員レベルまで到達する女性の数が圧倒的に少ないことが最大の原因です。

1972年に公布・施行された勤労婦人福祉法を改正し、1986年に施行された「男女雇用機会均等法」は、今年で30年を迎えます。1975年の国際婦人年、1976年の国連女子差別撤廃条約の裁決など、1970年代は世界的に男女の不平等を改正しようとする動きが生まれた時期でもあり、1980年代に入ると、様々な分野に女性も進出していくようになります。

日本でも、均等法施行により企業は幹部候補である総合職にも女性を受け入れるようになりました。この時期に総合職に就いた、いわゆる第一期総合職女性がその企業に残っていれば、現在五十代前半。ちょうど役員に任命され始める年齢です。しかし、共同通信が大手28社に対して行った調査によれば、昨年10月時点で女性総合職第1期の80%が退社しています。つまり、ほとんどの第一期女性総合職が役員になっていない。年功序列の日本企業で、管理職・役員職の年齢層に達する社員の中に、女性の絶対数が少なすぎることがわかります。

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