40代以上の総合職女性の絶対数は非常に少ない。女性管理職を増やすために必要なのは、男女不平等の是正よりも新陳代謝と世代交代だ

【この記事のキーワード】

絶対数が少ないゆえ、女性の働きやすさを考える理由がなかった

そもそも、女性には総合職になれる人材が少なかったのでしょうか?

大卒が総合職入職条件だと考えて、まずは女子卒業者数の推移を調べようと思ったのですが、卒業者の男女比率はウェブ上で詳細な数値が公開されていませんでした。そこで今回は代わりに、大学在籍者数を見てみたいと思います。

graph01

戦後、順調に差が縮まってきたとはいえ、均等法が施行された1986年はまだまだ男女で大きな差が開いています。この当時総合職として就職した大卒女性たちは、まさにエリート中のエリートだったはずです。そんな選ばれし女性たちの8割がこの30年の間に離職してしまったのはなぜでしょうか。

均等法が施行された当時、男女が同じように高い教育を受ける」「男女が同じように働く」ということを想定している人は少なく、「男性と同じように働く」ことに門戸が開かれても、そこに入っていく女性はまだまだマイノリティでした。また、総合職として入職しても、受け入れる側の男性が女性総合職と補助的な仕事をする女性の差を意識していたでしょうか? 何よりも、数が少ないマイノリティの都合(セクハラ、産休、育休など)を考える理由など、マジョリティ側にはありません。男性が中心の企業側には彼女たちを受け入れる体制がなかったのです。

しかし初回で書いたように、現在では女性の勤続年数は長期化しており、雇用者のうち女性の平均年齢40.0歳/平均勤続年数8.9年、男性の平均年齢42.5歳/平均勤続年数13.2年と、今や男女の会社在籍年数に大きな差はありません。雇用の流動化により、男性も一社で長期勤続する時代ではなくなっています。リクルートが実施するワーキングパーソン調査によれば、20代、30代に至っては過半数が転職経験者、しかもいずれの世代でも男性の方が転職経験率は高いのです。「女性は結婚・出産でやめる」というより「男女とも20,30代で過半数がやめる」のです。

課題は女性登用よりも、若年者登用

一方、正規雇用者数の数には未だに男女で大きな開きがあります。

graph02

JILPTのレポートによれば、1980年代と比較して、平均勤続年数と所定内給与の男女差はいずれも10%程度縮まりましたが、男性を100%としたときにはいずれも60%強の水準にとどまり、いまだに大きな差が開いています。

大学卒業者の男女差は縮まっているのに、「働く」ことについては差が縮まらないのはなぜなのでしょうか。

均等法施行当時、企業は学歴を使って一般職のみの採用を行うなど事実上の女性差別をしていました。また、総合職として採用された女性にとっても、セクハラ、昇進や賃金の差別、長時間労働文化、家事育児を分担できない夫、保育園不足など、家でも会社でも様々な足かせにより、長く働き続けられる状況ではなかったはずです。

第一期総合職女性が80%も退社しているのはそうした状況から導かれたものと推測されますが、人々の意識は変わりつつあります。イクメン、バリキャリという言葉が普及する程度には「男女が同じ条件で同じように働き、生活する」ことも珍しい光景ではなくなってきています。

一方、現実として管理職・役員の年齢層の女性が非常に少ないので、これから数年で女性管理職の数を劇的に増やそうと思ったら、若い人を登用するしかありません。こう考えていくと、女性登用が可能かどうかよりも、年功序列の日本企業で若い人の登用が可能なのかどうかという方が、課題設定としては適切でしょう。

1 2 3

「40代以上の総合職女性の絶対数は非常に少ない。女性管理職を増やすために必要なのは、男女不平等の是正よりも新陳代謝と世代交代だ」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。