乙武不倫騒動に、あらためて問う「妻が夜の営みを拒否したら、夫が外でするのは“仕方のないこと”なのか」

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射精は必須事項なのか

 基本的に、妊娠・出産は、夫婦の合意あってのものである。つまり、夫側も妻が母親になり自分が父親となること、家族が増えることによって生活が変化することを理解しているはずだと、女性側は考えがちだ。ところが実際には、夫婦両方の「こう変わるはずだ」という思い込みはズレている。意外なほど、「子供を産んで妻が変わってしまった」と嘆く男性は多く、「子供が産まれたのに夫が変わってくれない」と嘆く女性も多い。そして夫婦間がすれ違い、セックスレスに……当サイトでもこの問題についてはたびたび扱われている。

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 しかしいつも疑問に思うのは、夫側に「したいけど、数年間は我慢する」という選択はあり得ないものか、ということだ。「したいけど、妻はしてくれない」→「なので、よそで解消します」。この流れに「まあそうなるよね」とは頷けないのである。

 夫は妻とセックスしたいのに拒否される。妻が子供にかかりきりで疎外感を感じる。そりゃあ悲しい気持ちになるだろう。「いやいや感じるな、悲しくなるな」と言っても無理である。だけど現時点で行為をしたくない、できない理由があって、そうなっているわけである。相手のことを嫌いになってもう二度としたくないというわけでないなら、その「理由」が解消されれば、またセックス頻度が上がる日が来るのではないか。そう受け止めて、しばらくの間は頻度が低くても我慢するわけにはいかないのだろうか。

 男性は日々精子が製造されて溜まっていくという身体構造上、「出す」つまり射精することが必須であるという共通認識がある。しかし実際には、出さなくとも病気になったり死んだりはしない。夢精するぐらいだ。それとも食欲や睡眠欲と同様に、性欲は解消されなければ命にかかわる欲求なのだろうか?

 なぜ私たちは「男性は定期的な射精が必要」と思い込んでいるのだろうか。男性は種をばらまきたい生き物だから本能で不倫をするのだとか、女性も夫以外の男性の子を孕みたいから不倫をするのだとか、いずれも「思い込み」の域を出ず、本質ではない。

育児に奮闘する妻をいたわり我慢をするのが良い夫だとか、夫の気持ちを慮ってセクシャルな関係を拒絶しないのが良い妻だとか、そうした「正しいあり方探し」をしたいわけではまったくない。そうではなくて、「男性は我慢できないものなんだ」という社会の共通認識を疑い、今一度あらためて検証しても良いのではないか、ということだ。

 再び乙武さんの話に戻ると、彼は「僕は一晩に何回でもできる」と性的な強さを誇示していたというが、射精や性行為は、男性の“自信”に大きな影響を及ぼしている。だからこそ拒絶されると深く傷つくのだろうが、そこに依拠した男らしさに、果たして何の意味があるのか。射精だけでなく、「女性を悦ばせる」「多くの女性に求められる」といった要素も男性は誇りに思う傾向にあり、女性経験の貧困さは嘲りの対象になる。こうして形作られている男らしさや男の自信について、問い直すべきときが来ていると思う。

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