25歳でコンシェルジュ付きタワーマンション購入。女性が家を持つ=恋愛・結婚の妨げとなるのか?

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――新入社員とはいえ大きな会社にお勤めなのに、ずいぶんと枯れた味わいのあるお部屋に住んでいたんですね。しかも7万円って、その部屋にしては高いような。つまりは、昔から住宅に興味があったわけではない、ということでしょうか。

伊藤「仕事で住宅業界に関わるまでは、まったく興味がなかったですね。当時はいかに住居費を安く抑えるかということしか、考えていませんでした。これでも新入社員のなかでは私がいちばん家賃が安かったんです。でもせっかく住宅業界で働いているんだから一度買ってみようかな、と。仕事で培った知識があるので、大損することはないだろうし。いまより居住環境がよくなるなら、購入するのに早いに越したことはないですよね。それに25歳で買った、という経験は仕事において自分の強みになるという気持ちもありました。人よりも若く購入したからこそ、こうして取材していただいたりもしていますし」

――その勢い! 若いってすばらしいですね。具体的に、購入してどのような気づきがありましたか。

伊藤「賃貸のときよりも、自分の家や暮らしを大切にするようになりました。私は現在、マンションの管理組合の理事をしていますが、心境の変化にはその活動も大きく影響しています。私はいちばん若いこともあり、とてもかわいがっていただいているんです。管理組合の方々とは、共有スペースでカフェをやったり、防災グッズの即売会をしたりと、日常的に交流があります。みなさん自分たちの住むマンションをほんとうに大切にされていて、すれ違う居住者同士、知らない人でも挨拶をします。賃貸に住んでいた時はむしろ人と会わないようにして、隣の人の音にイライラしたりしていましたが、いまは壁が厚いので音でのトラブルなどもありません」

単身女性の不動産購入に対するスティグマ

――マンションのなかで世代を越えたコミュニティができているのは、面白いですね。昔の町内会のような感じでしょうか。伊藤さんは、今後も同じマンションに住みつづけたいと考えていらっしゃいますか。恋人もいるとのことですが、相手の方は住まいについてどのような考えでしょうか。

伊藤交際3年ほどになりますが、いまは彼も私のマンションに住んでいます。家を持っていると、おつき合いする相手に、自分の通勤に便利な立地や心地よい環境に合わせてもらえるので、おススメです! 広さ的にはふたりで住むのにも十分ですし、マンションの知り合いで同じタイプの部屋に親子3人で暮らしている方も知っているので、当面は問題ないはず。私としては、将来子どもが育ったりして手狭になったら、同じマンション内の広めの部屋を購入するのが理想です。いまの部屋は賃貸に出すと、相場が月額20万円ほどになるようなので、上手に運用できたらうれしいですね」

――しっかり者ですね。率直にいって、家を持っているとモテますか?

伊藤「どちらかというと、最初は驚かれますね。モテにつながるかは不明ですが、家を買うと自分には帰る場所があると思えるから、強くなれるんじゃないでしょうか。男性にいって引かれるのが嫌なら、親類の持ち家に住まわせてもらっているとか、適当に誤摩化しておけばいいんです(笑)」

 たしかに「女性が家を持つと、結婚するときに邪魔になる」という考え方は、「女性は何も持たずに結婚し、相手の環境に染まる」ということを前提としているようにも思えます。現代では、多くの女性が結婚するまでに仕事のキャリアを積み、自分なりの生活スタイルを確立しているケースが多いはず。不動産などの持ち物も含めて、お互いの培ってきたものを尊重しあうのは当然ではないでしょうか。もちろん転売や転貸は簡単なことではありませんが、物件が持つ価値を吟味することもせず、「単身女性の不動産購入」=「一生独身」というように揶揄する風潮は、女性は資産を持つべきでないという社会的スティグマ(負の烙印)の表れかもしれません。

――伊藤さんにとってマンションを購入したことは、自分の足場を作ることにつながったのですね。とはいえ、その成功の裏には住宅関連のお仕事をしていた優位性があったのも事実。これからマンション購入を考える女性に対して、業界経験者の立場からアドバイスなどありますでしょうか。

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