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中森明菜の親子関係に見る、「老親との縁切り」は薄情なのか?

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 筆者もかつて、実母の毒親ぶりに悩まされた。毒親持ちなら知らないものはいないスーザン・フォワードの『毒になる親』を熟読し、そこに書かれている親との決別を実践したことがある。同書で紹介されている毒親のタイプでいえば、“干渉し、いつもコントロールしていないと気が済まない親と、そういう親に育てられて大人になった子供”、『コントロールばかりする親』だった。

「このタイプの親の持つ問題の深刻さがなかなか理解されにくいのは、彼らは子供を支配しようとしているのに『子供のことを気遣っている』という“隠れみの”に包まれているためである。彼らの言う『あなたのためを思ってしているんです』という言葉の本当の意味は、『私があなたをコントロールするのは、あなたがいなくなってしまうことがあまりにも不安なので、あなたを行かせないでみじめな思いをさせるためなのよ』ということにほかならない。だが、もちろん彼らがそのようなことを認める事はまず絶対にない」

 このように解説されているが、これを読むと、たびたびメディアを使って老いをアピールし、死んだ実母の見舞いに来なかったことをあからさまに責め、娘との関係復活をはかろうと画策する明菜の実父、明男さんにも通じるところがある。同書では、こうした親との関係を考え直す方法として、親との“対決”を推奨しているが、対決で親との関係が変わらないどころか悪化する場合は、関係を断つことも自分を守るためには必要だ、と説いている。明菜が分籍したのは明菜なりに自分を守るための行動だったのではないだろうか。

 さて、明菜の近況はどうか。「自身」は実父のみならず明菜の動きにも敏感だ。だが直接取材はしていない。昨年11月には、明菜の公式ファンクラブ『ファイスウェイ』の会報に寄せられた明菜からの直筆メッセージを紹介しており、スポーツ紙が報じた完全復活には程遠く、暗さに満ちている、という論調で報じているのだが、確かにそのメッセージがすごい。

「今年ももう12月ですね…本当にほんとうに早い――」

「元気になって…あれもこれもと…思う中…自分は止まったまま…」

「本当に途方にくれるぅ…」

「みんなに元気を届けるべく…メッセージを書かないといけないのに…どうしていいか…なんかほんと…わかんない」

「ベランダに…米つぶを…そっと…置いて待つ…“ちゅん”“ちゅん”と来てくれる…すずめさん…ずーっと…見つめちゃう…かわいい」

 明菜、三点リーダ使いすぎである。活動したい気持ちはあるが、米粒をベランダに置き、すずめをずっと見つめている日々。語り口が『中森明菜心の履歴書』の頃から変わっていない。明菜の体調不良や活動休止が100パーセント親との関係に起因するわけではないのだろうが、実家族と縁を切って21年間もの月日が経っても、今なお彼女は「途方にくれ」ているようだ。明男さんは本当に子供を思うのであれば、メディアを使い一方的に自分の言い分を広めるのはやめたほうがよい。

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