神田うのが力説する「『母親』は目立たず、前に出ず!」の従順規範

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『女も殿であれ! UNO式サクセスルール』(講談社)

『女も殿であれ! UNO式サクセスルール』(講談社)

 タレントの神田うの(41/以下UNO)が上梓したエッセイ本『女も“殿”であれ!UNO式サクセスルール』(講談社)にからみ、5月15日、都内で発売イベントが行われた。この2日前にはベッキーが『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)に出演し、2016年上半期最大のスキャンダル・ゲス不倫騒動を詫びている。イベント前の囲み取材で相手の川谷絵音について尋ねられたうのが「お名前の通りの方。反省していただきたい」と厳しい一言を放ち、翌日のスポーツ紙を賑わせた。

 UNOは「こういうタイトルつけちゃうから、“いけ好かない女”って男に嫌われちゃうんだよって言われた」と夫に苦言を呈されたことを囲み取材で語っているが、いやいや、目を引き興味をそそられるとても良いタイトルではないか。“殿”って何よ!? と誰もが思うだろうし、“サクセスルール”などという自己啓発本のようなワードチョイスもグッと来る。女性としてのUNOに興味のある読者のほかに実業家としてのUNOに興味を持っている読者に対しても訴えかけているようだ。内容もそのニーズに応えるかの如く『独自の確固たる価値観を大切にしている彼女が「ビジネスウーマン」として、「ワーキングマザー」として。そして「神田うの」として、大事にし続けている「働き方のこだわり」や「モットー」、「運の掴み方」など……。成功の秘訣について語ります!』(Amazon紹介文より)とある。早速目を通してみた。

娘のために「地味な母親」をやる

 パンスト御殿で知られるUNOは、ウエディングドレスブランド「シェーナ・ドゥーノ」のデザイナーも務めており、その成功の秘訣等が第一章で語られているが、messyとしての注目どころはやはり第二章『母親としてのUNO式ルール』であろう。和痛分娩を選択したこと、育児のストレスは仕事で発散しつつ、仕事のストレスは育児で発散すること、今年5歳になる娘に食べさせる食事には最大限気を使っている……など、ママとしてのUNOの属性がよく分かる。また本書では触れられていないが、ブログでは母乳育児であることをたびたび発信していた。

 娘が生まれてからのUNOは『娘のために』変わった、らしい。先にも紹介した食事について。曰く、UNOが幼少期からいたって健康でアレルギーもなく、肌トラブルに見舞われた事もないのは母親のおかげだと感謝しているから「今度は私が娘に、母と同じことをしてあげる番(中略)添加物がたくさん入っているものは食べさせないようにしていますし、料理に使う野菜は、できるだけオーガニックを選びます。(中略)やっぱり一番大切なのは、安全性。この部分には、そうとう気を使って」いるという。別のページでも「ママの味を伝えたいから料理だけは絶対、人任せにはしない」「『シッターさんの料理の味しか知らない子供はかわいそ過ぎる』と私は思う」と、食への気合いはすごい。ページもけっこう割いている。よその子供を「かわいそ過ぎると思う」と決め付けるのもまぁ乱暴が過ぎるにしろ、UNOにとって「娘は偉大。私を変えた唯一無二の存在です」。娘が産まれたことで奔放な自分の生き方が改まったと綴ってもいるので、『娘のために』頑張りまくる気持ちも分からなくはない。

 しかし、ストレートな物言いで芸能界に存在感を示し、ビジネスの辣腕をふるってきた“デキる女”のUNOが、こと育児に関する場面になると、没個性の黒子に徹しているというからさすがにビックリする。

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