
Photo by Jayel Aheram from Flickr
今回は、沖縄で起こった元海兵隊員によるレイプ殺人事件を受けて、何回かにわけて世界の米軍基地における性犯罪・暴力事件、そして本土と沖縄の構造的暴力の問題について書きたいと思います。
日本には現在米軍基地が30カ所以上あるほか、演習場や住宅施設など米軍関連施設が全国に存在しています。その中でも、沖縄の負担が特に大きく、沖縄県は日本に占める面積は1%以下であるにもかかわらず、米軍基地・関連施設の74%が集中しています。
多くの人が知るように、沖縄はもともと琉球王国という独立した国であり、本土の日本人とは異なる言語・文化を持つ民族でした。近代に入ると日本は琉球処分として琉球の植民地化を推し進め、名前も沖縄県としました。
第二次世界大戦中には壮絶な沖縄戦を経験し、たくさんの犠牲者を出しました。第二次世界大戦の終結のためにサンフランシスコ講和条約が締結され、日本は第一次世界大戦以降に膨張政策により奪取した地域を返還しなければならないという取り決めを交わします。琉球が併合されたのは1872年から1879年のことなので、この対象とはならないはずですが、アメリカ政府は、沖縄県は独自の国であるとしてアメリカ軍政下におきました。その後、沖縄に置かれた米軍基地は、朝鮮戦争、ベトナム戦争など冷戦によって、前線基地として規模が拡大していき、同時に米軍による事件・事故も増加しました。
当時の沖縄県の人々にとって、反安保・米軍基地の全面返還・本土復帰は切実な願いでした。1969年に沖縄県は本土に復帰しますが、米軍基地の全面返還は果たされませんでした。
沖縄で起きたレイプ殺人事件を考える際に、隣国の韓国にある米軍基地を参考にすると意外な共通点が見えてきます。
韓国は日本の敗戦による解放後、米軍の占領下におかれました。1948年には大韓民国が成立しますが、1950年の朝鮮戦争勃発により韓国に多数の米軍施設が設立され、ベトナム戦争など冷戦の拡大により、在韓米軍の規模は拡大していきます。しかし、2002年に締結された韓米連合土地管理計画により多数の基地や関連施設が韓国に返還されています。在韓米軍基地は在日米軍基地ほどの規模ではないものの、その存在はいまだに周辺地域に大きな影響をもたらしています。
両者とも、日本による侵略・植民地化を経て、連合軍(米軍)の統治を受け、冷戦に巻き込まれるようにして現代まで続く米軍基地問題に悩まされてきた点は共通しています。さらに沖縄の米軍基地と在韓米軍基地は「女性」の視点から見ても共通点があります。それが米軍相手の性風俗ビジネスの存在です。ただし、その語られ方には沖縄(日本)と韓国で大きな違いがあります。