社会

ストーカー加害者の根底にある、強い「被害者意識」…三鷹ストーカー殺人事件犯人の言葉から読み解く

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 また旧一審では、ストーカーの心理を理解する上で非常に重要な問答があった。

裁判官「あなたの大好きな被害者に、幸せになってほしい気持ちはなかったんですか?」
池永被告「…未熟だったのでそうした思いに至ることができませんでした…」
裁判官「“ワイセツ画像を流出させるぞ、それが嫌なら会いに来い”なんて言うと、そんな相手を嫌うのは当然ですよね。ある意味、彼女に嫌われるのはあなたが招いた結果とも言えるんじゃないでしょうか?」
池永被告「…判事さんのおっしゃる通りです。でも怒りよりも苦しい。苦しみを絶ちたいという思いがありました。当時の彼女の気持ちを想像しましたが、根っこにあるのはやはり彼女は加害者。自分は被害者感情を持っていて、彼女を加害者として見ていたというか…」

 小金井事件の岩埼容疑者は冨田さんから自分の送ったプレゼントを送り返されたことが犯行の動機であるように供述しているが、池永被告のように“自分は彼女に傷つけられた被害者”だという認識を持っていたのではないか。ストーカーの根底には“相手に傷つけられた”という被害者意識があり、それゆえに復讐をしたい、傷つけたい、不幸にしてやりたいと考えるようだ。そこにはまた自身のコンプレックスも絡んで来ているように見えた。やりたいことに向かって前進していく被害者たちへの姿が眩しすぎるからこその嫉妬もあるのだろう。男性がストーカー化すると、女性に勝てる唯一の手段とばかりに、暴力を選びがちである。そして女性がひとりになるタイミングを見計らうのだ。

 ストーカー情報の共有について警視庁は、この三鷹ストーカー殺人事件を教訓に、被害者の110番に迅速に対応するシステムを構築していた。しかし本件でこれは活かされなかった。武蔵野署で冨田さんが相談した内容が、警視庁本部内のストーカー捜査支援部門「人身安全関連事案総合対策本部」に連絡されていなかったのである。これまでストーカーによって女性が不条理に命を奪われるたびに、法整備や捜査支援の拡充がはかられてきた。だがそれが活かされず、また今回、このような事件が起きてしまったことには空しさしかない。
(高橋ユキ)

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