「男の性欲※」について、あなたはどのようなイメージをお持ちですか?
(※本稿では、成人した異性愛男性の性欲を指すこととします)
弁護士で前大阪市長である橋下徹さんが、「米軍は風俗活用を検討すべき」という発言を繰り返しています。彼の言葉から読み取れるものは、彼自身が抱く【男の性欲観】です。
橋下さんは、沖縄での性暴力を無くしたいという思いゆえに「性風俗活用」を唱えているのだ、と主張します。しかし性風俗で働いていた筆者からすると、橋下さんはあまりにも素朴な「性欲中心主義者」だと思うのです。
性暴力事件が発生した中での「風俗活用」発言は、つまりは「暴力にいたる前に男性の性欲を解消せよ」という提言です。しかしそれでは、現実の性加害の問題をあまりにも小さく見積もってしまいます。刑事事件化した性犯罪から、痴漢・DV・セクシュアルハラスメントまで、女性の日常にある性加害を無くすためには、橋下徹さんの発言を例にして、改めて【男の性欲観】の問題点をあぶりだすことが非常に重要だと考えます。
性欲が性暴力を生むのか
2016年5月19日、米国籍の軍属で元米兵のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)が、沖縄県うるま市の女性会社員(20)の死体遺棄容疑で逮捕されました。シンザト容疑者は女性を背後から襲撃し、性的暴行を加えた上で刺殺した疑いが持たれています。
この事件を受け、橋下徹さんはTwitterで5月21日に以下のようにつぶやきました。
『米兵等の猛者に対して、バーベキューやビーチバレーでストレス発散などできるのか。建前ばかりの綺麗ごと。そこで風俗の活用でも検討したらどうだ、と言ってやった。まあこれは言い過ぎたとして発言撤回したけど、やっぱり撤回しない方lがよかったかも。きれいごとばかり言わず本気で解決策を考えろ!』(誤植は原文ママ)
橋下さんは2013年の大阪市長時代にも、米海兵隊司令官に対し「(沖縄における米兵の性犯罪を減らすために)もっと風俗業を活用してほしい」と進言。国内で大批判を浴び、当時「沖縄県民の人権について、米国民にもっと真剣に考えてもらうための発言だった」という趣旨で釈明しています(風俗の現場で人権侵害が起る可能性を全く想定されていないようなので、意味がわかりにくい釈明になっているのは、言うまでもありません)。