「めでたしめでたし」では済まされない北海道児童遭難事件 重要なのは「しつけ」と「虐待」の境界線ではない

【この記事のキーワード】

重要なのは「子どもへのリスク」

一般的に、虐待にはabuse (支配的虐待)とneglect(放任的虐待)があります。このうちabuseは、親の期待通りに子どもを行動させるため、子どもの意思や人格を尊重せずに、親が自分の命令・強制によって子どもをコントロールしようとする物理的・心理的暴力行為がこれに該当します。 一方、neglectは親が自分の都合を優先し、子どもを放任して、適切な保護を与えない、子どもとの適切な関係性を築こうとしない状況です。

このような定義を聞くと、暴力行為や機能不全家族を想像しがちですが、こうしたわかりやすい虐待行為ではなくとも、結果的に子どもの心身を傷つけることになる行為は実は多いのです。

児童虐待防止法では、児童虐待に含まれる行為を次のように定義しています。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前2号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

この定義に従うならば、子どもの心身を傷つける行為は幅広く虐待にあたるのです。直接手を下しているわけでも、怒鳴りつけて子どもを脅し付けているわけでもないけれど、結果として子どもを大きな危険にさらし、子どもの心身を傷つける行為はすべて虐待です。「しつけか虐待か」「状況的に仕方ない」という判断ではなく、「この行為は子どもに危害を及ぼすだろうか」「万が一でも結果として子どもの心身を傷つけるものではないだろうか」という判断をする必要があるのです。今回の事件を通して、保護者はいまいちど、「どう判断すべきか」の定義についてしっかりと考える必要があるのではないかと思いました。

【参考】
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/dl/120502_11.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/63/7/63_379/_pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv37/dl/9-2.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000099975.html
https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/jidougyakutai_fukushihan_kenkyoH26.pdf
http://www.elcomercio.com/actualidad/encuentran-nino-abandonado-castigo-padres.html
https://www.theguardian.com/world/2016/may/31/hunt-japanese-boy-yamato-tanooka-forest-punishment-parents-critcised

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