政治に無知な女の子を「オレたちのルール」で染めようとするオッサン臭

【この記事のキーワード】

津田「みなさんによい、すごくかんたんな選び方があるんですよ」
星夏「かんたんな選び方?」
津田「“自分の選挙区の中で、とにかく若い、女性の候補者を選ぶ”ということです」

特集:18歳からの選挙権(『Seventeen』集英社/2016年7月号)

 新たに選挙権を得る世代が読んでいる女性ファッション誌『Seventeen』では、6月号と7月号、2カ月にわたって選挙特集が組まれている。後編である7月号では各政党の現在の議席数や主たる政策を比べたり、投票方法がイラストで解説されていたり、はじめての選挙に臨むための資料が一通り揃っている。投票を促すための有用な特集記事だが、雑誌モデルらと識者による座談会が始まると、どうしても「女の子に教えてあげる」構図が強まっていく。致し方ない部分もあるが、やっぱり気になってしまう。

 モデルの1人から、どうやって投票をする人を選べばいいのかを問われた津田大介は、簡単に選ぶ方法のひとつとして「“自分の選挙区の中で、とにかく若い、女性の候補者を選ぶ”ということです」と告げるのだが、これには首を傾げる。続く発言から拾うと、確かに「政治家はおじさんばかり」だし、彼らに「若い人の気持ちはわからない」ことが殆どなのだけれど、「若い女性」という属性の近さだけで政治家を選出するのは安直すぎる。

 「ただただ若いってだけで出てる人」を受からせないための投票行動は、政治を直視する際に必要不可欠な、そして、さほど難しくもない投票行動である。若き女性候補は押し並べてみんなの味方になってくれる、という前提は危うい。女性候補者の政策をTwitterなどで見比べてみよう、とも言っているが、オジさん候補者のなかにも女性問題に尽力しようとしている人はいるし、若い女性候補者のなかに、たちまちオジさん化していくような、党の方針をコピペした後に「若さで頑張ります!」と付け加えただけの人も少なくない。とにかく若い女性の候補者を、という指南には「何も知らないみなさんたちは…」という姿勢が透けてしまう。津田がまとめたように「『若者をなめてたらしっぺ返しがあるよ』っていうことを伝えるチャンス」なのだから、若い女性有権者は若い女性候補者に、などと選択肢を絞らせるべきではないだろう。

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