連載

「勃起と射精」に拘泥する男の“性欲”と、ニッポンの「性教育」

【この記事のキーワード】

科学的な知識を身につけ、自分の身体の扱い方を知る

村瀬先生の講義に引き込まれます

村瀬先生の講義に引き込まれます

村瀬 でも、性教育がないからといって、男子が性について何も知らないままかというと、そうじゃありませんよね。思春期になれば性的な欲求や関心が高まり、メディアや友達なんかを通じ、様々な性情報にアクセスするようになる。

清田 そうですね。僕の思春期は性的関心を持つとエロ本をみんなで貸し借りして繰り返し鑑賞するのがメインでしたが、今はネットでいくらでもアダルトなコンテンツが見られます。また、先輩や同級生など、男同士でエロ話をする中でいろいろ情報交換をしたりもしましたが、その文化は今も健在だと思います。

村瀬 絶対にダメなことではないけど、それは必ずしも科学的に正しい知識というわけではないよね? だから、場合によっては誤解や偏見が相当入り込んできて、理解や認識がめちゃくちゃ歪んでいってしまうことも少なくない。

清田 なるほど……。男子の場合、中高生の頃ってセックス経験者は稀少で、そういう人たちから「何人とヤった」「こんなプレイをした」みたいな架空の自慢話や、「女はこうすれば感じる」「こうすればセックスできる」みたいなハウツー話を聞かされることも多い。また、仕入れた情報を元に、童貞同士で妄想話を繰り広げることも多々ある。これでは正しい知識を得られるどころか、誤解や偏見が助長されかねませんよね。

村瀬 そうだね。だから僕も、男子学生に講義をするときは「君たちの性知識にはだいぶ薄汚れてるので、いったん白紙に戻し、一から学ぶ気持ちで聞いてくれ」って言ってます(笑)。

清田 僕は中高が男子校だったんですが、自分の男性性に苦手意識を抱きつつも、一方でセックスに対する欲望が煽られ、めっちゃ飢餓感を募らせていました。友達から聞く「彼女とこんなセックスをしたぜ!」みたいな話には、嫌悪感と羨望の念が同時にわき起こるというわけのわからない感覚でした。

村瀬 サブカルチャーとしてエロ情報を楽しむのはいいんだけど、その前に事実をきちんと科学的に勉強する必要があると思います。その土台がないと、簡単に誤解や偏見の渦に巻き込まれてしまい、自分も苦しむし、相手を傷つけることにもなりかねない。

清田 そうですよね。女性の身体構造も知らなければ、自分の性欲に関するメカニズムもまったくわかっていない。そんな状態で生身の女子と性的な接触を持つとしたら……。何というか、知識も技術も交通ルールも知らないまま車を運転するようなもので、危険すぎるだろって気がしてきました。

村瀬 特に男子はアダルトビデオなんかにも影響されるからね……。「激しくするほど女は喜ぶ」とか、本気で思い込んだまま大人になる男性もいます。だから僕は女子学生にも言うんですよ。ちゃんと自分の身体のことを知って、「痛い」とか「嫌だ」とか「こうして欲しい」とか、自分から相手にはっきり言えるようになろうって。

清田 桃山商事に恋愛相談しに来る女性の中にも、NOを言うのが苦手という人は少なくないです。

村瀬 女子の性教育では、「自分の身体の扱い方」を教えることがほとんどないんですよ。僕は女子学生には「自分で触ったこともないところに男のペニスを入れさせるな」ということをよく言っているんだけど、女子ももっと自分の身体の主人公にならなきゃいけない。性って“本能”だと思われているけど、実は知識や慣習によって形作られていく“文化”なんですよ。だから教育というのが大事で、それは大人が子どもに対して果たすべき責任だと考えています。

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