社会

児童養護施設は悲しいところではないと知ってほしい――「親に頼れない」子どもたちが語った夢

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私が開いたカフェに来てくれますよね?

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カナエルンジャーピンクのジェイさん 撮影:加藤康祐

“あぐぅ”さんは、カフェのオーナーを目指し、専門学校に進学しています。食べることが大好きな彼女ですが、4歳までは一日一食食べられるかどうかという生活をしていました。ときには、食べるものがなく、姉と一緒に裏山にたけのこを取りにいく日もありました。姉が堂々とカナエールで夢を語る姿をみて、自身も参加を決めます。あぐぅさんは、施設の調理師の先生と一緒にやった料理教室がきっかけで、自分の料理をみんなが食べてくれる喜びを知り、みんなが集まることのできるカフェのオーナーになる夢を話します。

「施設では私がケーキをつくると、みんながわいわい集まって、みんなで楽しく食べるんです。あの雰囲気が大好きでした。小さくてもいい、子どもからおばあちゃんまでいろんな人たちが気軽に立ち寄ることのできるカフェ。施設でそうだったように、美味しいにおいに誘われて、みんながわいわい集まって、お喋りをする。そんな空間。そして、いつかお姉ちゃん、施設の先生、施設の子どもたち、里親さん、私をここまで応援してくださったすべての方々に、そして会場の皆様に、私の焼いたケーキと私が入れたコーヒーをぜひ、私が開いたカフェで心ゆくまでゆっくりとお楽しみください。そのときは来てくれますよね?」

客席からは「行くよ」の思いを込めた拍手が鳴りやみませんでした。

イタリア料理人を目指す“T2”くんは、ある日、卒業記念に施設関係者が連れていってくれたイタリア料理屋さんで背伸びをしてみて、名前を知らないメニューを注文しました。その緑色のソースがかかったパスタは、「口の中になんとも言えない美味しい味が広がり、鼻に抜ける香りが良い」のです。この鼻に抜ける香りがバジルであったこと、このパスタがジェノベーゼであったこと後で知ります。

自分も料理をつくりたい! とインターネットでレシピを調べ、クリスマスには施設で50人分のローストビーフとタンシチューをふるまいました。その際、ワインは飲むだけでなく、肉をやわらかくする作用があることを知り、素材の良さを生かすために料理人が様々な工夫をしていることに感銘を受け、より料理人になりたい思いを強めていきます。

“のこっち”くんの夢はゲームクリエイターになることです。「モンスターハンター」のキャラクターの動きがいかに素晴らしいのか、実際に身振り手振りを交えながら、楽しそうに語ります。その熱心さと、ゲーム動作の忠実な再現に、客席からは笑みがこぼれました。

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