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【連れ子虐待・自殺教唆事件】「24時間以内に自殺しろ」妻の連れ子を自殺に追い込んだ男

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 引き続き検察側冒頭陳述から時系列で書き出す(年はすべて2014年)。

 5月25日、村山は由衣翔くんに「死んでこい。死んだら男として認めてやる」と告げる。由衣翔くんは家出をするが、翌26日、家出中に出会った警備員に説得され帰宅した。6月中旬、村山による暴力で顔が腫れる。以降は外出させなかった。実質、監禁されていたと言ってよいだろう。

 村山は当時無職。Aさんは日中仕事に出ているため、次男はAさんの母親に預けられていた。この間、家には由衣翔くんと村山だけ。村山は由衣翔くんを部屋に閉じ込め、出られないようにして、トイレも許可を得ないと行かせないという暴力、虐待が続いた。Aさんが外出中、Aさんのキャミソールや髪飾りで由衣翔くんを女装させて携帯電話のカメラで撮影し、「お前、男か女かはっきりしろ」「オカマでもいいからこの家にいさせて下さいと言え」などと告げたという。

 7月に入ると村山の暴走に拍車がかかる。由衣翔くんに、ロフトベッドの柵に縛り付けたヒモを首にかける仕草をさせ、それも撮影。さらに由衣翔くんに多量の朝食を強要し由衣翔くんが嘔吐したことに激怒。失禁した由衣翔くんをケータイで撮影したり、バケツに放尿するよう強要するなどしていた。

 7月29日13時~13時10分、Aさん不在の時、注意に従わなかったとして暴力を振るう(本件起訴の傷害罪)。19時までに由衣翔くんに「24時間以内に自殺しろ」と申し向ける。18時頃帰宅したAさんに「自殺するように言った」ことを告げる。

 7月30日、Aさんは朝起きてから、キッチンで村山と朝食をとった。仕事を休みたいと言ったAさんを村山は許さず、口論になる。「お前がいてもいなくても状況は変わらない。帰ると血の海になってるぞ」など、口論はヒートアップし8時40分頃まで続いた。その間に、由衣翔くんはタオルで首を吊り自殺した。

 Aさんが死亡した由衣翔くんを発見すると、村山はうろたえることなく心臓や脈をはかる指示をしたりした。死亡時刻についてAさんに「8時50分」と供述するように言った他、暴力についても、Aさんに暴力を振るったことはないと言うよう告げた。

 9時36分、被告人が119番通報し、由衣翔くんの首つりを申告した。

 もちろん村山は自殺教唆については争いがあると主張しているので、のちの被告人質問では、この検察側冒頭陳述を否定する証言をしている。どちらが真実なのかは追って検討したい。

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 由衣翔くんは中学2年の6月から学校を休まされるようになったが、それまでも、村山からの暴力を受けてきていた。学校はこれに気付いていたのか? また「死んでこい」と言われて家出した際に、出会った警備員と由衣翔くんは何を話したのか? この家からどうすれば逃れることができたのか。結局、由衣翔くんは家から出ることも叶わず、自殺を遂げた。次回公判で裁判所は、担任と警備員の調書を採用。由衣翔くんが村山から暴力を受けていたことを知った大人たちの対応が明らかになった。

(高橋ユキ)

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