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【連れ子虐待・自殺教唆事件】右目を腫らして登校、周囲の大人は義父の虐待に気付いていた

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死亡2カ月前の家出

 また、由衣翔くんは2014年5月に家出をしている。このとき、偶然会った警備員の調書も公判で証拠採用された。

「26日、由衣翔くんを見かけた。前日から野宿していたと聞かされた。メモに記載している。5月26日の会話で父親から暴力を受けているのではないかと思った。『家出をしてきました。僕は食べるのが遅くいつも殴られる。本当の父親ではない。謝るときに土下座させられていて、2歳の弟も真似している。僕はこの世にいない方が良いんだ』と言うので慰めた。翌朝会うと『おはよう、昨日はありがとう』と言ってきたので、すっかり立ち直ってくれたんだと思った」

 由衣翔くんが外の人間に家庭内の事情を語る機会は非常に少なかったようで、おそらくこの警備員は唯一、由衣翔くんから父親の暴力の詳細を聞いた人間だった。話の内容も具体的で、継続的な暴力があることが分かる。しかし、通りすがりの警備員が、由衣翔くんの家庭にこれ以上踏み込むことは、やはり難しかっただろう。

 由衣翔くんには祖母もいた。初孫を亡くした祖母の調書はこうだ。

「5月のこどもの日の少し後に最後に会った。破裂しそうなほどに抱えた悲しさ、苦しさを考えると今の生活じゃダメなことを自分の死で示したかったのかもしれない」

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 被告人質問直前に開かれた公判では、由衣翔くんの母親であり村山の元妻であるAさんが証人出廷し、夫婦の力関係、村山との生活実態、そして由衣翔くんに対する夫婦の接し方、それに対する思いが語られた。次回の更新で詳述する。

(高橋ユキ)

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