自民党、5人の女性候補
今回は自民党の女性候補を、次回は民進党と日本共産党の女性候補を見ていきたいと思います。ちなみになぜ与党の一角を務める公明党を取り上げないのかと言うと、公明党は今回の比例区に女性候補を出しておらず、おじさん6人を候補にしているからです。当然、女性比率は0%。
自民党はトータルで25人の比例候補がいます。そのうち女性は5人なので、候補の段階での女性比率は20%です。この5人を紹介していきましょう。
今井絵理子
言わずと知れた、元SPEED出身の歌手・ダンサーです。内縁の夫が未成年風俗店で働き、未成年に性的サービスを提供させていた疑いで逮捕されていた件がニュースになり、出馬を見送るのでは、とも言われていましたが、結局出馬することにしたようです。夫を見る目は無さそうですが、政策を見る目があるのかどうか不安なところです。聴覚障害児を育てるシングルマザーという立場から、障害を含めた多様な個性を持つすべての人々が社会の一員となれる社会を目指す、という公約を掲げていますが、具体的な政策案などは無く、これまで女性の立場を向上する、社会の多様性を上げるという点について具体的な実績はありません。
片山さつき
自民党ネトウヨアイドル四天王の一角を占める片山氏は、辞任した舛添元東京都知事の元妻としても知られています。在特回会のヘイトデモに飛び入り参加したり、ツイッター上の中国関係のデマ情報を拡散したりと、ネトウヨ関連のスキャンダルが絶えません。ツイッター上では、中国、韓国、生活保護受給者、在日韓国朝鮮人、外国人、朝日新聞が大嫌いなことだけは伝わってきますが、政策はよくわかりません。一方、改正生活保護法、生活困窮者自立支援法などの議員立法もしています。二つの法律には「生活保護を受けにくくさせる」「生活困窮者のセーフティーネットとして機能しにくい」などの問題点はあるものの、現状と見合っていない生活保護や支援のあり方に改善が必要なことを(偏った視点ではあり、おそらく意図せず)提起したという点は評価に値するでしょう。
自見はなこ
いわゆる族議員かつ二世議員です。本人は小児科医で日本医師会とその政治団体である日本医師連盟のメンバーですが、父親の自見庄三郎氏も医師で、自民党を経て国民新党代表を勤めていました。自見はなこ氏は「日医連がどれだけ支持を得て国政送り出せるか、これだけが政治の場で唯一の力を持つ」と訴えていますが、日本医師会は自民党(自民党議員)に毎年数億円の政治献金を行っていることでも知られています。もちろん目的は、診療報酬の値上げです。自見氏本人についてはネットなどを見ても面白いことも目立つ実績も何も出てこないので、本人の実力というよりは周囲から持ち上げられて候補になったのかなという印象を受けました。
たかがい恵美子
いわゆる族議員です。本人は看護師で、自民党の支持団体である日本看護連盟のメンバーです。日本看護連盟は看護手当の値上げ、准看護師廃止と看護師の専門性の向上、看護師の処遇・地位改善を目的に活動しています。看護師は「女性の仕事」「誰にでもできる」「女でもできる」「専門性の低い」仕事とみなされてきたため、日本の看護師の地位は非常に低く、病院内での地位も、許されている医療行為の範囲も限定的なので、看護師である高階氏が自民党女性局長としても活躍していることは、看護師の人たちにとって心強いことでしょう。また、介護・看護の立場から関わってきた労働・介護問題を改善するという堅実な目標を掲げており、今回の自民党女性比例候補の中では一番信頼できます。
山谷えり子
自民党の誇るネトウヨアイドル四天王のもう一人、山谷氏は在特会幹部と写真を撮ったり、統一教会との親密さが問題になったりと、脇の甘い議員です。非常に保守的なジェンダー観を持っており、そもそも「男性らしさ」「女性らしさ」を否定するような教育には問題があるとしており、自民党の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の事務局長も務めていました。ちなみに、このとき同チーム座長を務めていたのが安倍晋三・現首相です。第1次安倍政権では、教育再生担当の首相補佐官をしていましたが、科学的根拠が全く無い「親学」を提言したり、性教育を否定したりと、女性の敵とも言うべき人物です。
というわけで、自民党の比例候補の女性を見てきましたが、政策や実績を考慮すると自然と4人が消去され、残るたかがい氏が唯一まともな候補者ではないか、という印象を受けました。比例選挙は候補者個人の名前か政党名を記入することになっています。どの候補も知名度や組織力がありますが、選挙は政策で勝負してほしいものですし、投票する私たちも個人名や政党ではなく、各人が掲げる政策をしっかりチェックして投票先の判断をしていきましょう。
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