家を買う気持ちが固まる時期は人それぞれだから、資金や立地よりも「優先すべきこと」がある

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 アラサー世代ではご両親が元気な場合が多いと思います。でも人間誰しも年をとってしまうもの。家を買うなどの大きな出費で長期的なローンを組む場合には、両親の老後のことなども考えなければなりません。

 生命保険文化センターの平成24年度調査によれば、一般的な介護費用の平均は月額7.7万円程度だそう。これだけの費用を子どもが全額負担するケースばかりではないにしても、かなりのお金がかかると思っておいたほうがよさそうです。

――大人になると、自分のこと以外にもお金が必要になりますね。

岡本「その意味では、早いうちから資金だけは貯めておけばよかったかもしれません。そうすれば買うのは遅くても、どんどん繰り上げ返済ができますから……」

 前回の記事では住宅コンサルタントから「30代でローンを組んだら、定年までにはローンが返せる」とアドバイスがありましたが、年齢が早いほど、その親も若くて元気ですし、思いがけない出費の心配も少ない利点もあるでしょう。

岡本「とはいえ、誰にとってもタイミングはあると思います。私の場合は、あのときより前に買おうとしても気持ちがついていかなかったと思いますし、後悔はしていません」

機が熟したから、購入した

――岡本さんの場合は、長く仕事のキャリア積まれていて、今後も同じ会社で働いていける見通しがありそうです。年齢を経て人生が定まっているぶん、安心して購入できますよね。

岡本「自分では、定年まで同じ会社で働きつづけるのかと思うと、ちょっと憂鬱な気分にもなります(笑)。私は別に堅実一辺倒のタイプではないんです。大学卒業のときは、金融関係や大手メーカーに就職していく同級生たちとは違って、後先も考えずに家族経営の小さなアパレル会社に就職したぐらい、自分のやりたいことに正直なところもあります。新卒で入ったその会社が潰れて、転職した会社がたまたま今の外資系大手企業だったんです。そんな私ですから、30代は家を買って居を定めることに興味がありませんでした。いつか別の仕事がしたくなったら、自分の気持ちに従えるような自由さも残しておきたかったのだと思います」

――では今になって不動産を購入されたのは、あえて自らに重みを課して、腰を落ち着けるという意味もあったのでしょうか。

岡本「どうでしょう。結果的にはそうなるかもしれません。ローンの返済に加え、親や自分の老後に備えるとなると、現在の収入額から下げることはできないので、きっと今の仕事を真っ当するんでしょうね」

――岡本さんのお話をうかがうと、本当に家を買うタイミングって難しいですね。自分や親が健康な時期やローンが組みやすい時期など、”適齢期”はありますが、気持ちが定まってなければお金は払えても、家が重荷になりねません。

岡本「最終的には、自分のぺ―スを大事にした方がいいのではないでしょうか。『どう暮らしたいか』がイメージできてないと、きっと後悔もあると思います。ですから私は機が熟するまで待っていたんですが、それでもリフォームについては、ちょっと誤算がありました」

――相当こだわってリフォームされたんですか?

岡本「むしろ、考えが足りなかったんです。私はマンション住まいの経験が浅かったのがネックでした。自分の好きなようにリフォームしてみたものの、実際住んでみると納得がいかなくって。いまでもまだリフォームが終わった気がしないんです。仕事以外の時間は、部屋をどう改善しようかということばかり考えています」

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