女子教育が世界を救う? 「女子に教育は必要ない」は次世代の子供たちをも不幸にしている

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一つ目は第一子出産年齢の上昇です。女子がより長く教育機関に留まることで、その分だけ第一子の平均出産年齢が遅くなります。そして第一子の出産年齢が遅くなれば、第二子、第三子を妊娠・出産する期間が短くなるでしょう。結果的に生涯に産む子供の人数は減ることになります。

二つ目は子供を持つためのコストの上昇です。教育を受けた女性ほど賃金が高くなります。そして賃金が高い女性ほど育休・産休を取った時の放棄所得(休暇中に失う所得)が大きくなる。すると収入が減らないように出産数を抑制する傾向が出てきます。

三つ目は、女性のエンパワメントです。母体の健康を考慮すると、出産と出産の間隔はある程度空いた方が良いのですが、多産の場合この間隔が短すぎることがあります。女性が教育を受け望ましい家族計画について学び、そしてそれを実現に移すために配偶者と交渉する能力を身に付けることで、無理な多産を抑制できます。

加えてこれは間接的な効果になりますが、女子教育を受けた人材が増え経済発展が進むと、主要産業が農業から工業、そしてサービス産業へと移っていきます。これに伴い労働者に求められる教育水準も、小学校修了から中等教育修了、そして高等教育修了へと移っていきます。すると子供の教育費が増加し、子供の人数を抑制することへと繋がっていきます。

女子教育の拡大が人口増加を抑止する傾向は日本でも確認することができます。厚生労働省の「第14回出生動向基本調査」によると、高卒女性の平均出生子供数は約1.8、短大卒で約1.7、大卒で1.4強、大学院卒で1.06と、なっています。

ただしここで注意していただきたいのは、少子化対策のために「女性に教育を受けさせなければいいのではないか?」というのは経済アプローチ的にも人権アプローチ的にも短絡的だ、という点です(経済アプローチと人権アプローチについては前々回の記事をご参照ください)。まず前者から考えると、女子教育は私的収益率と社会的収益が高く、少子化対策のために女性に教育を受けさせないことは費用対効果が悪い可能性があります。また子育てにかかるコストが高ければ高いほど合計特殊出生率が下がる傾向もあるため、育休取得を容易にする・子供の医療費教育費を下げるなど、子育てコストを下げる方が少子化対策になるのではないかと考えられます。後者から考えても、能力以外のものが大学進学の足枷となるのは子どもの権利条約に違反するもので、少子化対策の手段として女子の教育機会を阻害するのは許されるものではありません。

女子教育は、安全な妊娠を実現し女性差別を撤廃する!?

国連が2000年に制定した「国連ミレニアム開発目標」では、世界の様々な課題が取り上げられています。その中でも最も進捗が見られなかった領域の一つが妊産婦死亡率でした。

出産時に母親が亡くなってしまうのは悲劇以外の何物でもありません。さらに貴重な若い労働力が失われ、それまでの教育投資や保健投資が無駄になってしまうという経済的損失をも生み出してしまいます。

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上の図2は各国の妊産婦死亡率と女子の中等教育総就学率の関係図です。高い妊産婦死亡率の原因は、医療システムの不完備などの他に、女子教育の欠如も一つの理由として考えられています。

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