社会

「もう誰も選びたくない」が本音の都知事選 有力候補者が掲げる「女性の働き方・生き方」関連政策の検証

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有力3候補者検証

今回の候補者の中で実際に都知事候補として検討に値するのは、やはり鳥越俊太郎氏、増田ひろや氏、小池百合子氏の3者でしょう。

鳥越俊太郎(男・76歳・無所属)

今回の候補者の中で唯一のリベラル派です。待機児童ゼロ、保育士の給与・処遇改善、貧困・格差の是正、若者への投資を増やす、特別養護老人ホームなど高齢者の住まいを確保、介護職の給与・処遇を改善、子育て・介護に優先的に予算を配分、非正規では無く正社員化を促進する企業を支援、ワークライフバランスを促進といった政策を掲げていますが、「なぜそれが問題なのか」「何にアプローチすべきなのか」といったところが抜けており、どの政策も表面的です。

彼が今回、目玉政策としてあげているのは「がん検診100%」ですが、がん検診というのは、都政にとって、都民にとって優先度の高い問題なのでしょうか? 東京都福祉保健局の統計によれば、東京都のがん患者数は3万人以下。つまり、1300万人以上が住み、問題が山積みの東京都政においてがん検診の優先度はあまり高くないわけです。本人のがん闘病経験からの発言だと思いますが、都政で「最も成し遂げたいこと」というにはあまりにも弱いといえます。

なぜ、宇都宮健児氏に立候補をあきらめさせてまで、このように明らかな準備不足かつ具体的な政策ビジョンも持っていない人物を立てたのか。しょせん、「リベラル」の人たちも知名度優先で、都民や都政のことを見てはいないのではないのだと感じます。

増田ひろや(男・ 64歳・無所属)

自民党・公明党推薦の候補者です。前岩手県知事だそうですが、岩手がこの人によって改善したという話は聞いたことがありません。それどころか、岩手県知事時代に彼が行った無駄な大型開発や公共事業によって、岩手県の背負った負債は1兆4000億円。前任知事時代の倍に膨らんでいます。ファーストクラス出張三昧、管理者を勤めていた競馬組合の借金も大きく膨らみ、結局、岩手県に肩代わりをさせています。これでは政治資金問題で辞職した舛添前都知事もびっくりです。しかも、総務大臣時代には、東京都の税金を地方にバラまくという、全くもって東京都民のためにならない構造を作り上げています。東京と地方都市の格差を縮めるために必要なのは、地方交付金のバラマキではなく、一極集中の解消や地方都市の経済構造へのテコ入れです。そういった面倒な仕事はせず、東京都民から巻き上げたお金を地方にバラまいて「成果があった」というのは、都民を騙しているようなものです。

政策について、一応は子育て支援3本柱、介護福祉3本柱と、「子育て」「介護福祉」に関する政策はいくつかかかげていますが、具体的にどうやるのかは一切言及されていません。

小池ゆりこ(女・64歳・無所属)

数年前、防衛大臣であった当時、大臣再任を固辞し、安倍首相を「裏切る」ような行動をしたことを根に持たれているのか、自民党の公認を得ることはできませんでした。半ば喧嘩別れのような形で都知事選に立候補することになりましたが、政治経験は豊富です。

思想的にはいわゆる保守派、ゴリゴリの右翼です。ヘイトスピーチの親玉である在特会で講演したり、「親の育て方が悪いから発達障害になる」などというトンデモ思想を喧伝する親学推進委員会のメンバーです。驚いたことに、自分の公式ホームページでは、少子高齢化の原因を「頼もしい男性が減っているからだ」とする記事を載せ、さらに「有事に備えて東京に核ミサイルを持ってこい」と言っている人との仲良し対談記事を載せています。

ただし、女性政策に関してはリベラルなスタンスを取り続けてきた人でもあります。今回の立候補では、女性政策を大きな目玉にもしており、待機児童ゼロ、ワークライフバランスの実現などを政策として掲げています。ざっくりと言及するだけではなく、具体的に何が問題で、都政としてどうアプローチするのかをコンパクトにまとめています。目下の問題である女性の働き方や保育園不足の問題について、三人の候補者の中で比較的具体的なプランを持っているのは小池氏です。

国政ではあちこちの政党を渡り歩き、一貫性が無い面もありましたが、その分、保守派でありながら柔軟にリベラル派ともうまく調整する能力を持っていると考えることもできるでしょう。ただし、彼女の右翼的思想や無知なジェンダー観は心配ではあります。日本の外交政策が石原元東京都知事に引っかき回されたことを考えれば、ゴリゴリ右翼の小池氏が都知事になるのはやはり心配です。

消去法でも選べないレベルの低さ

……こうして候補者の政策を検討してみましたが、もう「誰も選びたくない」選挙としか言いようがありません。消去法でさえ、選べないレベルです。東京都という、地理的には国政よりもずっと限定的な範囲でありながら、国会議員一人よりもずっと大きな決定権を持つ知事が、自分の意思や理念で都政の範囲で実現できることはたくさんあります。東京都民は、東京にどうなってほしいのか、どうならないでほしいのか、それを十分に考えた上で投票に望んで欲しいと思います。

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