18歳年下・無職・イケメントルコ人との“格差婚”は、なぜ破れたか/『破婚』及川眠子さんインタビュー【前編】

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結婚という「事業」に失敗した

――Eさんと結婚されてから、要求に応じてお金を出していく日々について「ギャンブル感がつきまとってそれに快感を覚える」と書かれていましたが、その気持ちは具体的にどのようなものだったんですか?

及川 貢ぐんじゃなくて、「Eという男の夢に賭ける」とか、そういう部分なんだと思う。まあ男というファンドだよね。株だよね。うん。うちは旦那という株だったから。

――ちゃんと会社を興しているわけですからね、まさに。収益がどれくらい出るかも予想が立ちますし。「トルコ人のバカ亭主に貢いだと世間では言われているけど自分のために使った意識が強い」とも書かれていますが、そういうことなんですね。さらに「『得体の知れないガイジンに使うくらいならオレにくれよ』ということを言うバカなヤツもいるけど、やれるもんなら、Eぐらい満足できる愛情を注いでみろ」という記述があって、この本の中で特にそこが痛快です。

及川 「貢いだんでしょ」と、こないだもテレビで言われたんです。世間的にはそうですよ。でも私としては、結婚という「事業」に失敗したという感覚。結婚というよりも人生という事業、かな。投資したぶん、債務を背負う場合もある。成功もあるけど失敗もある。金を出したのはあくまでも投資だった。Eと一緒にやっていた仕事、トルコの旅行会社の資金がほとんどだからね。だから一方的に貢いだとか、騙された、とかいう感覚はない。Eは貧しいけど、なんか夢もあるし、頭は悪くなくて、吸収力があって、「これをしなさい」と指示すればちゃんとそれが出来る人間だったから、教えれば出来るようになる。これをなんとか育てようと思うわけじゃない。やっぱり金もかかるけど体力もかかるから、もうそういうのはやりたくないけど(笑)。

――Eさんも宝石とかブランドバッグを買うために金をせびっていたわけじゃないですもんね。

及川 そうそう。まあ最終的にはそうなっちゃったけどね。

――最後の成金ぶりにはいっそ笑っちゃいました。Eさんと浮気女性(=後のEさんの妻)の成金ぶりが、浮気女性のFacebook投稿から次々に発覚するんですよね。

及川 そうそう。だからその新しい嫁を見て、「なるほど」と思った。すごいマテリアルな女なの。物欲の塊なわけ。こんなものをもらった、こんなものを買った、っていう投稿ばかりなのね。いかに自分がいろんなものをもらったか、いろんなものを持っている女か、を見せつけたいの。あとはこんなレストランに行った、ここでご飯を食べた、とか。私はそのFacebookページをスタッフと見ながら「すごい女だね」と話してた。だって、新婚のFacebookって大抵「今日はこんなご飯を作りました」で仲良くツーショットとかでしょ。いわゆる日常の幸せ感を自慢したがる人が使うツールなわけじゃん。

――確かに日常系の投稿によるマウンティングの舞台と化していますよね。

及川 そして載せている新婚ツーショット写真は、結婚式で人に撮ってもらった、加工バリバリの写真なの。自撮りとか日常の写真じゃないの。だから分かるのは、結婚生活の終盤で、Eの金の使い方が激しくなったわけだけど、そういう状態の男に寄って来るのは、こういう女なんだよなってこと。Eはすごく見栄っ張りだから、自分が金を持っているように見せるし、すごい優秀な自分を演出するけれど、それは私には完全に見抜かれているから通用しないじゃない? そもそも資金を出したのは私だし、経営が順調にいって彼がいくら威張ったところで、私が仕事上の判断をして彼に指示することで、事業が上手くいってきていたわけだから。でも、それって苦しいことだったんだろうね、男にとって。

――はい、苦しかったんでしょうね。妻である及川さんに、全部見透かされていて、虚勢が通用しないことが。

及川 その女はさ、Eの見栄に対して「わあ、すご~い!」って褒めてくれる。男はそっちにいくよね。すーっと気持ちが傾く。女はそれを利用して金やモノを引っ張る。良いところに住みたい、とか、ポルシェに乗りたい、とかいう願望をそれとなく打ち明けて。男はそれを叶えてあげるよね。

母なら、愛してくれるよね?

――及川さんはこの本に、「子供は産まない選択をしている」と書かれていましたが、「Eさんを自分の息子だと思えば金のことも割り切れる」とも書かれていた。Eさんへの気持ちが恋愛から子育て感覚に変わる瞬間があったのですか?

及川 保護者になったんでしょうね。徐々に徐々に、妻とか恋人とかよりも「保護者」になって、そしてEの感覚もそうだったんだと思う。つい最近、そういや何度もEがこう言ってたな、と思い出したんだけど「私にとって眠子さんは奥さんであり恋人であり、お母さんであり、妹であり、姉であり、女友達であり、全てだ」って。……保護者か(笑)。彼にとっての全てだったの。

だからもうすべてを受け入れてくれる相手だったんでしょうね。現在はお金のことで裁判中なんだけど、未だに彼は私に対して事務的でないような連絡もよこすのね。たぶん、依存が残っているから。お母さんだと思っているから。私に対して「意地悪してるだけでしょ」っていうふうに思っているフシがある。

――えー! よくそんなふうに思えますよね。

及川 思えるのよ。

――ただでさえマザコンですよね?

及川 うん、だから恋愛自体は終わっていて「もう愛されてない」ということを知っていながら、「でもまだ僕のお母さんでいてくれるよね、僕を愛してくれるよね」という気持ちが彼にあるんじゃないかと思う。離婚しても、自分が私をひどい目に遭わせても、まだ愛してもらえると思ってる……それぐらいに依存してきちゃったから。13年にわたって。だってないんだもん、彼は何も。

――Eさんは及川さんと交際も結婚もしないで、あのまま絨毯屋の店番をやっていたら、どうなっていたんでしょう。

及川 相手が私じゃなくても、いろんな人をひっかけるなりして、そこにパラサイトしてやってきたんじゃないかなって思う。

 かつて恋人であり夫婦であったEさんと及川さんだったが、徐々に関係は変化し、最終的にEさんにとって及川さんは依存対象となった。また及川さんも、Eさんの“保護者”的存在になり、夫婦としての信頼関係も、セックスも、なくなっていったという。

後編につづく

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