一家総出のプロジェクトでマンション購入したアラサー女性に見る、「親ローン」で気をつけるべきこと

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豊田「結婚前提ではあったけど、いつとは具体的に決めてなかったので、私はどうなるかわからないという危機感はありました。ただ、彼と別れてシングルになっても、結婚してDINKSで住むにしても、どちらにも対応できる広さですし、前篇でお話ししたとおり子どもが出来たら売ればいいと思っていたので、汎用性は高い物件だと判断して購入に踏み切りました。まず私の方に、とにかく購入してみたい、広い家に住みたいという希望があったので、自分優先でしたが、『もしも結婚して、あなたがこの部屋に来るなら来てもいいよ!』という気持ちでいましたね」

ー一頼もしい女性ですね。男性の「結婚する気持ちはあるんだけど、今はちょっとできない」問題に、女性は振り回されてしまいがち。我が道を行って、結果的に結婚もなさったのは素晴らしいです。それで、結婚後は彼が移り住んで新婚生活を始めているんですか?

豊田「そうしています。結婚する前から彼が家に来ることが多かったので、新婚的な気持ちの切り替えがない点は、少し不満なんですけどね。今の時点で売ったり貸したりする選択肢も彼にも相談したのですが、このままでいいと言うので」

「今まで結婚式に向けて準備してきて、なおかつ終わったあとも内祝いなどで何かと忙しくしてきました。ここに引っ越しが重なると、多分2人ともしんどくなるなと思って、彼女の家に住まうことにしました。子どもも早く欲しいので、今はお金を貯めるべきときですから現実的な生活の手間や経費が軽減されるのはありがたいですね」

親元から離れた場所に家を買うか否か

ーー豊田さんの思う通りに進んでいますね。

「全ての面で妹の意思を尊重してくれる、優しい人なんです」

ーーお姉さんはどうでしょうか? 妹さんが住宅購入されたことで、ご自身も住まいを購入したい気持ちになったりしましたか。

「すごく買いたいと思います。私は仕事がフリーランスのライターですから、いつどこに移り住むのかも分からないし、お付き合いしている人もいつ海外に飛び出すか分からない人だったりするので、一生賃貸だと思っていたんです。でも、妹の話を聞いたら資産として家を持つのもいいなと思うようになって。それで、実際に物件を調べたんでんですが、東京って不動産が高いんです!」

 東京の地価は他県と比べても群を抜いて高額で、国土交通省の「住宅地の都道府県別価格指数(平成27年度発表)」によれば、東京の平均地価は大阪の倍以上です。

ーーそれだと妹さんと同じような運用はしにくいですね。

「そうなんです。まだ買いたい気持ちがありつつ、妹が愛知県にいる両親と離れた大阪に所帯を持った以上、私が身軽でいるのもいいかなと」

ーーなるほど。親と離れた場所に住宅を買うか否かという問題がありますよね。

「私たちの両親は、元々出身が大阪で愛知に地縁があるわけではないので、自分たちのもとに帰ってきなさいとは言いませんが、現在は私も妹も離れた場所に住んでいるので、気にはなります」

豊田「我々の近くに両親が来るって可能性もありますね。愛知の家は売ればいいので。私は『両親が死んでも、この家いらない。売り払ってやる!』って、勝手に査定してますもん(笑)」

 家を買うとなると、資金の問題や、結婚相手の問題、実家の問題などさまざまなしがらみを無視できず、迷いが出てくることもあります。でも、お金のことや将来のことについて、互いにオープンに話す豊田さんの家族を見ていると、コミュニケーションさえきちん取っていれば、家族がいることで、より上手に資産を運用できるような気もしてきました。不動産を購入したことの波及効果として、家族全員が幸せになるような、そんな家の買い方も不可能ではないのかもしれません。

(蜂谷智子)

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